否定文を作る最も基本的作法として、既述の「助動詞+否定副詞not+本動詞」の形態と対照的に覚えておくべきものが、「否定形容詞no+名詞」を用いた表現です。
「【no】+名詞」の表現には「不定冠詞【a / an】」は付きません
【no】も【a / an】も「限定詞(determinative)」であり、「同一語句に複数の限定詞が付くことはない」ので、「not a / an+名詞」の表現は可能でも、「(×)a no+名詞」や「(×)no a / an+名詞」の表現は不可なのです。
「a no-smoking seat:禁煙席」のように「no-~」の複合語形成成分として使われる「no」は「a+no-~」の形になりますが、「no+a / an+名詞」の形態になることは決してありません。
♪There’s no smoker in my family.
私の家族に喫煙者は一人もいません。
(×)There is a no smoker in my family.
♪No two persons are exactly alike.
まったく同じ人物は二人と存在しない。
「no+名詞」の2語構成のほかに、【nobody】・【no-one】・【nothing】・【none】等、否定的意味を表わす単語が用いられる場合もあります。
♪Nobody knows you better than yourself.
あなた自身ほどあなたの事をよく知る人は誰もいない。
上の英文は厳密に言えば”破格(文法的にコワれている形)”・・・再帰代名詞「yourself」は「目的語」にはなれても「主語」にはなれない。「You know yourself:あなたはあなた自身を知る」とは言えても「Yourself know you:あなた自身はあなたを知る」とは言えないので、上の英文の文法的に正しい形は「Nobody knows you better than you know yourself」であり、この形態から許される省略は「Nobody knows you better than you」まで・・・ではあるが、この”省略前の完全形”が反射的に脳裏に思い描ける英語人種にとっては、「than you know yourself ⇒ than yourself」の省略も十分許容範囲であり、”非文法的”ではあっても”非現実的”な省略とは言えない。
♪Nothing is so intoxicating and toxic as empty popularity on the Net.
ネット上での空疎な人気ほど、恍惚を誘う、そして中毒性で有害なものはない。
「intoxicating」は「(酒・薬物・褒め言葉等々、快楽を誘う何かが)人を酔わせる」の意味の形容詞だが、その元になった名詞「toxin:トクシン」とはズバリ「毒素」のこと・・・気持ちいい何かに酔ってデレーッとしてるのは「毒に当たって感覚が麻痺している状態」というわけ・・・上の英文中での「toxic」という形容詞の意味は「中毒性の」に近いが、一般には「有毒の(poisonous)」の意味で用いる・・・ウットリさせる(intoxicatingな)物事は、ドップリ浸かれば身を滅ぼす毒性のある(toxicな)物事なので、ウッカリ・ネットリその毒壺の中に身を置く(be+in+toxin ⇒ be intoxicated:酔う)と中毒(toxic)になるから、御用心。
♪None [is] so blind as those who wouldn’t see.
見ようとせぬ者ほど盲目の者はない。
上例の「none」は文語的な語で、普通なら「nobody」を用いる・・・後続の”those – who”の言い回しまで含めて、文語的響きを意志的に強めている英文なので、述語動詞[be]も省略すると更に”格言調”になる。
「those who wouldn’t see」は「people who refuse to see:見ることを頑なに拒む人々」の意味で、この助動詞「wouldn’t ~」は「~ないだろう」の”推量”ではなく「頑として~したがらない」という”打消意志”の用法(「won’t」ではなく「wouldn’t」なのは”仮定法過去”で”婉曲”のニュアンスを出すため)。
「主語+動詞+not+名詞」の表現よりも「主語+動詞+<no+名詞>」の方が否定の意味が強調されます。
♪Adam and Eve were expelled from Eden for eating the forbidden fruit. Now, mankind is ousting itself from its thrown by reaching for forbidden technologies of creating new life and intelligence which will make humans outdated. This is no joke. We are committing collective suicide, and we are all committed to the process of killing ourselves in the name of scientific advancement.
アダムとイブは禁断の木の実を食べたせいで楽園エデンを追放された。今、人類は、人間を時代遅れにするであろう新たな生命と知能を生み出す禁断の科学技術に手を伸ばすことで、人類をその王座から追放しようとしている。これは冗談ではない。我々は集団自殺を演じているのだ。そして我々はみな”科学の進歩”の名の下にその自殺のプロセスへと積極的にのめり込んでいるのである。
上の深刻な話の中に登場する「This is no joke.」は、「This is not a joke.」としても一応意味は通じます・・・が、「This is no joke.」が「This is a quite serious story.:これは極めて真剣・深刻な話として述べているのである」という響きを持つのに対し、「This is not a joke.」は「I’m not saying this as a joke.:これは別に冗談で言っているのではない」という風にやや”軽め”の雰囲気があります。
♪Time and tide wait for no man.
時の流れと潮の流れは人間のことなど誰一人待ちはしない(ひとたび時機や潮目を逃したらもうそれっきり、チャンスは二度と巡って来ない)。
上の英文は英語の有名な格言で、日本語では「歳月人を待たず」などと訳されることが多いようです・・・【no】=【not any】なので、次のように書き換えることもできます(が、このまどろっこしい形では”格言”としては使えません)。
(♪)Time and tide don’t wait for any man.
否定的意味を表わす単語としては、「no-」型以外に(フランス語風の)「non-」型(【nonsense】等)もあります。
♪Don’t talk nonsense.
アホなこと言うな。
関西弁の「んなアホな!」に近い軽いノリで用いるのが「Don’t talk nonsense.」です。
「Nonsense!」の一語だけだと、「論外!」として相手の発言を(冷笑的に)はねつける非常に冷たいケナシ文句になってしまうので(その相手と絶交したい場合以外は)使ってはいけません。
「Nonsense!」の一語だけだと、「論外!」として相手の発言を(冷笑的に)はねつける非常に冷たいケナシ文句になってしまうので(その相手と絶交したい場合以外は)使ってはいけません。
「Don’t talk nonsense」の表現では、【no】=【not any】の等式は適用不可能です。
(×)Don’t talk any sense.
【nonsense:ナンセンス、無意味なたわごと】を「(×)not any sense」へとバラバラにしてしまえばそれこそナンセンス(まるで意味を成さぬこと)になってしまいます・・・「【non-】系のフランス語由来表現を【not-any】の形へと”解剖”すれば、死んでしまう」と覚えておきましょう。
「~しても何の意味もない」の意味を「~ to no purpose」や「~ for nothing / for naught」で表わす場合等です。
♪All my efforts came to nothing.
(♪)All my efforts came to naught.
私の努力は全て水泡に帰した。
「naught」は耳慣れない単語かもしれませんが、形容詞「naughty:まったくしょーもない」の形ならお馴染みかもしれません。組成的には「no(無)+aught(物)」なので、「no+thing=nothing」と全く同じ意味の名詞になります。
「come to nothing(=naught)=結局何の成果にも行き着かない」の表現の【nothing】を【not anything】へと分解して次のように書き換えることは、できません。
(×)All my efforts did not come to anything.
詳しい事は「文否定と語否定」の節(SECTION)で後述しますが
【no-】型否定語を「(×)not any -」の形へ書き換えることができない定型表現がある
ということをとりあえず頭の片隅に引っ掛けておきましょう。
♪Victory and beauty come to no coward.
臆病者には勝利も美女も寄って来ない。
上の英文の場合は、「come to no coward」⇒「do not come to any(あるいはa) coward」の書き換えも可能です(・・・が、まどろっこしいので英語人種ならまずやりません)。
(♪)Victory and beauty don’t come to a coward.
この構文で用いられる否定副詞は【nowhere】の1語だけです(米語では【noplace】とする場合もあります)。
♪You’ll go nowhere following in the footsteps of others.
(♪)You won’t go anywhere by following in the footsteps of others.
他人の踏みしめた道を辿ってみても、どこへも行きつけはしない(=人真似したってラチが開かない)。
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●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
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