最後の「it seems:どうやらそのように見える」は、本来なら文頭にあるべき「主節相当語句」を文末に”挿入”した形。文頭に「It seems that ~」の形で置くと形式張るが、このように文末に付け足す形になるとくだけた口語調になる。
「~, so the management and Government believe」の「so」は、直前までの文章の流れを引き継いで「そのように」の意味を表わす副詞・・・「経営陣(the management)および我が国の政府([the] Government)としてはそのように(so)信じ込んでいる(believe)」という言い回しには、「自分としてはそうは思わない;が、労働者の賃上げに消極的なこの国の企業&政府のやり口を見ていると、連中の考えはそうらしい」という筆者・話者の無言の不賛同・非難の響きが込められている点を見逃さぬように。
♪Most teachers are so busy even after school that they have very little leisure, and the little leisure they have will be spent on doing unfinished work they come home with.
上例の「the little leisure {[that] they have}」は「{彼らが持つ}あるかなきかの余暇」の意味を表わしますが、この部分はまた「関係形容詞【what】」を用いることで次のように表現することもできます。
(♪)Most teachers are so busy even after school that they have very little leisure, and what little leisure they have will be spent on doing unfinished work they come home with.
上例の「if any」は「[even] if [I know] any [pop songs these days]:たとえ私が最近の流行歌をいくらか知っているとしても」の”譲歩”構文からの大幅な省略形。
上の表現は次のように換言可能です。
(♪)I know practically no pop songs these days.
「practically no X」が「ほぼXなし」の意味になるロジックは、「practically ⇒ in practice」の書き換えを施せば理解できるでしょう・・・「in practice:事実上」は「in theory:理論上」の対義語で、「理屈の上では細かい違いがあるかもしれないが、実際の話としては~と同じとみてよい」の意味で捉えれば、「practically no X=理論上はゼロではないにせよ、現実的感覚としてはゼロに等しいX ⇒ ほぼXなし」ということになるわけです。
(♪)I know virtually no pop songs these days.
「virtual:ヴァーチュアル」は、日本語では「仮想現実(virtual reality:ヴァーチュアル・リアリティ)」でお馴染みの形容詞ですが、これは「”現実”とは異なる”作り物”ではあるが、まるで現実のような迫真性あり」ということなので、「virtually no X=ゼロではないにせよ、あたかもゼロであるかのようなX ⇒ ほぼゼロのX」という意味になります。
(♪)I know next to no pop songs these days.
「next to nothing」は直訳すれば「”無”に次ぐ」、現実的な言い方に直せば「ほぼ皆無、無いに等しい」となります。
”数的”な場合は【few】ですが、”量的”な表現の場合は【little】を用います。
●【little, if any, X】 / 【little or no X】=あるかなきかのX、たとえあったとしてもごく少量のX
=【practically(=virtually) no X】 / 【next to no X】
♪I have little, if any, knowledge about programming.
私はプログラミングについてはほとんど何も知りません。
(♪)I have little or no knowledge of programming.
(♪)I have practically no knowledge of programming.
(♪)I have virtually no knowledge of programming.
(♪)I have next to no knowledge about programming.
【little】はまた”程度”を表わす副詞用法で(形容詞を修飾する形で)用いられる場合もあります。
●【little, if ever(=at all), ~】 / 【little or never ~】=ほとんど全く~ない
=【practically(=virtually) not X】
♪Some animals are little, if ever, inferior to humans in their family love and loyalty.
(♪)Some animals are little, if at all, inferior to humans in their family love and loyalty.
家族への愛情と忠誠心に於いては人間に決して劣っていない動物たちもいる。
(♪)Some animals are little or never inferior to humans in their family love and loyalty.
以下の2つの言い換えでは、「not inferior to humans:人間に劣っていない」を「equal to humans:人間に匹敵する」という(”not”を使わない)形へと言い換えてあります。
(♪)Some animals are practically equal to humans in their family love and loyalty.
(♪)Some animals are virtually equal to humans in their family love and loyalty.
●【not a few X】 / 【quite a few X】 / 【a good few X】=かなりの数のX
●【not a little X】 / 【no little X】 / 【quite a little X】=かなりの量のX、かなりの程度までX
♪We waste not a little amount of time and money on quite a few trivialities.
我々はどうでもいいくだらない事の数々にかなりの時間と金を浪費している。
(♪)We waste no little amount of time and money on not a few trivialities.
(♪)We waste quite a little amount of time and money on a good few trivialities.
【not a little X / no little X:少なからぬ量のX】・【not a few X:少なからぬ数のX】の表現に於いては、【not / no】が【a little:少量】・【a few:少数】を打ち消して「少量・少数だなんてとんでもない、むしろかなりの量・数だ!」の意味を表わします。
【a good few X】の言い回しはあまり多用されません。
【no little X】の表現は多用されますが、(×)【no few X】という言い方はしません。
【not a little】 / 【not a few】と同じ意味が、真逆の意味になりそうな【quite a little】 / 【quite a few】でも表わされるのは不思議な気分になるでしょう・・・その謎解きは、次の(少々長めの)問答に最後までお付き合い頂ければ納得できると思います。
♪“Regrets I’ve had a few, but then again, too few to mention.” ― “Such as?” ― “I should have studied, exercised and worked much harder in my youth. And I should never have started smoking, drinking and gambling. And most of all, I should never have married my ex-wife.” ― “You have quite a few regrets, it seems to me.”
「(O-2)Regrets (S)I’ve (V)had (O-1)<{a few}>, but then again, [they are] too few to mention.」はFrank Sinatra(フランク・シナトラ:1915-1998)の代表曲『My way:マイ・ウェイ(1969)』の歌詩(フランス人コンビClaude François&Jacques Revauxの原曲に、Paul Ankaがシナトラ用に英語の歌詞を付けたもの)をそっくりそのままパクったもの・・・ちなみにこの曲、「the second most covered pop song next only to “Yesterday”:”イエスタデイ”に次いで史上二番目に数多くカバーされたポップソング」である。
一連の「I should have ~ed:~しておくべきだった」・「I should never have ~ed:~なんて決してすべきではなかった」は、「今更取り返しの付かない過去の事実」に関して「過去の事実に反する仮定(=反実仮想)」の形で述べているので、”過去”より1つ遡った”仮定法過去完了”の形態になっている(詳しくはESSE最終テーマ「SUBJUNCTIVE:仮定法」にて後述)。
最後の「it seems to me」は、本来ならば文頭に「It seems to me [that]」の形で置かれているべき”主節相当成文”を、文末の”挿入成文”として用いることで、グッと口語的な雰囲気を醸し出している(・・・日本人はこれを英作文でやたらと使いたがるが、話し言葉ならではの軽快な言い回しを書き言葉の英語で無節操に乱用するのはやめた方がいい)。
一番最初に「I’ve had a few regrets(後悔することも2~3はあった), but then again(でもよくよく考えれば) [they are] too few to mention(大した後悔でもないからつべこべ言うまでもない)」と(マイ・ウェイ風に)かなり偉そうに語り出したくせに、後でダラダラその「a few regrets too few to mention:一々並べ立てるには値せぬ程度のわずかばかりの後悔」の数々を列挙したところ、話を聞いていた相手側の反応は「It seems to me that you have “quite a few” regrets:”a few:ほんの2~3”と呼ぶにしては”quite:かなりの”後悔をあなたは抱えている、という風に私には見える」ということになってしまった、という上のお話の展開からわかる通り、【quite a few X】が【not a few X:少なからぬ数のX】と同じ意味で用いられるのは、一種の”皮肉(sarcasm)”としてのものなのです。
【quite a little】が【not a little】の意味に化けるのも、その根底にはやはり”皮肉・当てこすり”があると思ってください。
♪“Are you drunk?” ― “A little.” ― “Quite a little drunk, I should say.”
「酔ってる?」 ― 「ちょっと」 ― 「ちょっとって言うより、かなり酔ってる、でしょ?」
「I should say」は、直訳すれば「私としてはたぶんこう言うだろう」で、この”should”は(積極的な響きを打ち消すために添えられた)”弱気”の助動詞だが、日本語訳する場合には「~じゃないの?」ぐらいの(付加疑問文の”isn’t it?”的な)訳出に留めておくとしっくりくる。
●【fewer】 ⇒ 【less】の口語的言い換え
♪He has much fewer followers than a couple of years ago.
・・・Teaching is the best way of learning(教えることは最高の学びである)・・・自ら学んだ知識は、他者に役立てることで、ますます磨かれ、揺るぎない英知として皆さんの脳裏に強固な位置付けを占めるようになるものです・・・ダイヤモンドの原石磨きの場として、この「コメント道場」を積極活用してくださいね!
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一般の掲示板では、自分の質問に誰かが何かコメントを付けるたび、それなりのレスポンスを返すのが「作法」ということになっています・・・が、この「コメント道場」では
●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
・・・ここは「おともだち」と交信するための仲良し広場ではないので、「白山羊さんと黒山羊さんのお手紙交換」みたいなことを延々繰り返していたのでは質問者・回答者双方にとって時間・労力・忍耐力の空費ですし、それ以外の受講者の皆さんにとっても肝心の「質問」・「回答」の部分が「あいさつのこだま」の陰に隠れてしまったのでは迷惑な話になってしまいます。
・・・というわけで、以下の二点の約束事を定めておきますので、皆さんどうぞ御納得の上で質問・回答ください:
◆回答者は、質問者から自分への直接のお礼のコメントがなくても、悪く思わないこと◆