「be going to ~:~する予定だ」は一般に「”未来”の助動詞【will】の代用表現」とされますが、そもそもは「ある目的地へと向かう」という”物理的移動+到達目的地”の表現だったものが「~するつもりである」という”行動の目的・予定”の表現へと転じたものであり、”行動の到達点”を示すというその原義に於いて「前置詞としての”to”」と「不定詞としての”to”」は同じものである、と言えるわけです。
英文法の世界では、「動詞」が「前置詞の目的語」になる場合の形態は常に「~ing(動名詞)」と相場が決まっています・・・が、その唯一の例外と言えるのが【be about to ~:今にも~しようとしている】の定型句で、この表現に於いてのみ「前置詞の目的語」となる「不定詞」が見られます。
(動名詞ではなく)不定詞(to ~)が「前置詞」の目的語になるという現象が極めて例外的であるために、この【be about to ~】の表現に於ける”about”の位置付けに関しては英文法業界では議論の的となってきましたが、この表現に於ける”about”の意味を読み解く上では、まず次の表現をおさえる必要があるでしょう。
♪What is he about?
彼、何をしようってんだい?
上例の「What is A about?」は「Aは今何してるとこ?」の意味を表わす定型句で、「What is A doing?:何やってるの?」・「What is A going to do?:何しようっての?」・「What does A intend to do?:何するつもりなの?」などと同じ意味になります・・・この場合の前置詞”about”は「従事=Aにかかずりあう」の意味を表わします。
全く同じ形態の「What is A about?」でも、次の英文ではまるで意味が異なります。
♪“What book are you reading?” ― “Kama Sutra.” ― “What is it about?” ― “It’s about improving the quality of life through physical enlightenment.” ― “It sounds difficult.” ― “Not at all. It’s easy if you try… shall we try?”
「Kama Sutra:カーマ・スートラ」は紀元4~5世紀頃に書かれたと推定される古代インドの「愛の聖典」・・・精神論ではなく具体的な性行為の作法について露骨に書かれていることで有名・・・その巻末には「本書は情欲の充足を目的としたふしだらな本ではない」と断わり書きがあるらしいが、現代人には「古代インドのエロ本」として捉えられがち。 ちなみに「Kama:カーマorカルマ」は「性愛」のみに留まらぬ全ての「欲望(desire)」を意味するサンスクリット語。この「Karma」と「Artha(アルタ=富=wealth)」と「Dharma(ダルマ=宇宙を支配する法と秩序=cosmic law and order)」の3つが古代インドに於ける人生の三大目的とされ、そのうちの1つの「愛」について大真面目かつ赤裸々に掘り下げてある本なので、キリスト教的禁欲主義の伝統が根強く意外と真面目な西欧人や儒教的潔癖性の強い日本人の目から見れば、「カーマ・スートラ=どギツくエロい古代のセックス指南書」という感覚もムリはない。
●「What is it about?:それは何に関しての本ですか?」に於ける前置詞”about”の意味は、”従事”ではなく”主題”である
●「It’s about improving the quality of life through physical enlightenment.:それは、”肉体面で今まで知らなかったあれこれを知ることを通じて人生の質を高めること”に関する本です」に於ける前置詞”about”の意味も当然”従事”ではなく”主題”であるが、その”about”の目的語となる動詞型は”improving:改善すること”の「動名詞」になっており、”to improve”の「不定詞」形態を取っていない
上例の「[have] got to ~(動詞原形)」は「have to ~(動詞原形)」の口語版で、助動詞【must】に相当する「~する必要がある」の定型句です・・・後続成文は「~(動詞原形)」なので、上述の「get to+名詞」の表現との識別はラクそうに思えますが、この「[have] got to ~:~ねばならない」の表現に関する注意事項は次の2点です。
●【have to ~:~ねばならない】相当の【got to ~】は、元々【have got to ~】からの省略形なので、常に”got”(過去形ではなく過去分詞形)で用い、決して(×)【get[s] to ~】の現在形にはしないが、その文脈は常に”現在”であり、”過去”や”未来”では決して用いない。
●【have to ~:~ねばならない】相当の【got to ~】と同様に”現在形”では用いない【get to ~】として、「(紆余曲折を経て)ようやく~になる」の意味を表わす”漸進表現”がある。
♪At first she hated him, but she got to(=came to) love him.
彼女は最初彼を嫌っていたが、なんだかんだでやがて彼を愛するようになっていった。
「get=到達する」由来の【get to ~】の”漸進表現”には、「あれこれあったが結局~になる」・「様々な障害を乗り越えてようやく~になる」・「長い時間の果てにやっと~になる」といった”紆余曲折の末の到達”・”いや~、苦労したゎ”・”安堵の溜息ホッ”の響きがあり、類義語【come to ~】の「時間経過と共にごく自然に~になってゆく」という”苦労知らずの自然発露的漸進性”とはややニュアンスが異なります。
【come to ~】・【get to ~】は基本的に”過去”の脈絡で用いますが、「”未来”の”時・条件”を表わす副詞節の中での”現在形”」で用いる場合はあり得ます・・・しかし、「助動詞willの付いた”未来形”」で用いることが出来るのは【come to ~】だけで、(×)「will get to ~」は用いません。
【get to ~】の表現には「あれこれの事情を経た上で」の”紆余曲折”の響きがあるので、「will get to ~:あれこれ苦労した末に~になるだろう」というのは論理的に辻褄が合わないのです。
♪You will come to like him as you get to know him well.
(×)You will get to like him as you come to know him well.
彼がどんな人かよくわかるにつれて、君も次第に彼が好きになることだろう。
”漸進的到達”の【get to ~】は”過去形”(・・・時・条件を表わす未来の副詞節内では”現在形”)で用いるのに対し、同じ【got to ~】の形態で”必要性”を表わす(have got to ~の略形の)表現は決して”過去”の文脈では使いません。”過去に於ける必要性”を表わすには【had to ~:~ねばならなかった】を使わねばならないのです。
♪With the elevator out of order, I had to walk to the top of the building.
エレベーターが故障中だったので、ビルのてっぺんまで私は歩いて上らなければならなかった。
(×)With the elevator out of order, I got to walk to the top of the building.
この【learn to ~】もまた【come to ~】・【get to ~】と同様の「次第に~になってゆく」の”漸進表現”として用いられる場合があります・・・が、「~することを覚える」という”学習”の意味と捉えることも出来ます・・・両者の境界線の曖昧さを打破するためには、「~することを学習する」の意味で用いる場合には【learn to ~】はやめて【learn how to ~】を用いるのが得策です。
「1)動名詞:GERUND」 ・ 「2)分詞:PARTICIPLE」、それと「BEG:Basic English Grammar(英文法基礎編)」の全テーマが既に”done:履修済み”ですね。
♪In case you forgot, the title of this series of lectures is ENGRAM ORGANIZER, it’s about running through the whole realms of English grammar as an intellectual marathon, and it’s about to lecture on specific usages of infinitive.
「it’s about <running through the whole realms of English grammar as an intellectual marathon>:それは英文法全領域を知的長距離走として駆け抜けることを主題とするもの」の部分では、目的語が<動名詞>なので前置詞【about】は「<~すること>に関するもの」の意味(=”主題”の用法)になる。
「it’s about <to lecture on specific usages of infinitive>:それはこれから不定詞の個別的用法の解説を行なおうとしている」の部分では、目的語が<to不定詞>なので前置詞【about】は「今まさに~しようとしているところ」の意味(=”従事”の用法)になる。
・・・Teaching is the best way of learning(教えることは最高の学びである)・・・自ら学んだ知識は、他者に役立てることで、ますます磨かれ、揺るぎない英知として皆さんの脳裏に強固な位置付けを占めるようになるものです・・・ダイヤモンドの原石磨きの場として、この「コメント道場」を積極活用してくださいね!
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一般の掲示板では、自分の質問に誰かが何かコメントを付けるたび、それなりのレスポンスを返すのが「作法」ということになっています・・・が、この「コメント道場」では
●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
・・・ここは「おともだち」と交信するための仲良し広場ではないので、「白山羊さんと黒山羊さんのお手紙交換」みたいなことを延々繰り返していたのでは質問者・回答者双方にとって時間・労力・忍耐力の空費ですし、それ以外の受講者の皆さんにとっても肝心の「質問」・「回答」の部分が「あいさつのこだま」の陰に隠れてしまったのでは迷惑な話になってしまいます。
・・・というわけで、以下の二点の約束事を定めておきますので、皆さんどうぞ御納得の上で質問・回答ください:
◆回答者は、質問者から自分への直接のお礼のコメントがなくても、悪く思わないこと◆