♪“Is there any reason why dinosaurs disappeared that we are not aware of?” ― “Not that I’m aware of. They became extinct because of huge meteor explosion and global weather change thereof, for all we know.”
上の英文は、「propositions:命題」という共通の「先行詞」に「[that] I am sure of:私はそのことを確信している」と「which all others will also accept:他の人々もみなそれを受け入れるだろう」という2つの関係代名詞節が共通して掛かる「二重制限の関係代名詞節」になっています。
本講座の作者(之人冗悟:のと・じゃうご:Jaugo Noto)が英語に興味関心を抱くようになった動機は、『The Beatles(ザ・ビートルズ:1962-1970)の歌詩を完璧に理解したい』ということでした。 ・・・LPレコード(当時はCDなんてありません)にオマケで付いてくる歌詞カードの日本語訳も(いや、英語さえも!)実際にビートルズが歌っている内容とは掛け離れている場合が多い相当に残念な代物でしかないことが(当時まだ中・高生だった)作者にもヒシヒシと伝わってきたので、『これはもう、他の日本人が書いたもの・言ってることなんて一切当てにせずに、自分で頑張って本当の英語の意味を理解できるようになるしかないな』と覚悟を決めたわけです。 ・・・そうして一念発起して疑問&解決の一人問答プロセスを数限りなく積み重ねてきたおかげで、今ではもう英語の文法で理解不能なものはほぼ皆無、誰かに「これって何?」と聞かれても解説不能な内容もほぼ皆無、というところまで達したこの筆者なのでしたが、そんな中でもたった二つ、最後の最後まで「これって一体どういうこと?」という謎として残ったビートルズの歌詩がありました ― 『Michelle:ミッシェル』(Rubber Soul A-7)と『All you need is love:愛こそはすべて』(Magical Mystery Tour B-5)です。
たとえビートルズに興味がない人でも、『Michelle』および『All you need is love』の歌詩の解釈・訳し方の問題は、「関係詞と挿入」および「関係詞の二重制限」というここでの文法テーマについて考える上で好個の題材になるものなので、以下、この筆者(之人冗悟)がいかにしてこれら2曲の歌詩のナゾを解き明かしたかの解明プロセスを紹介してみようと思います・・・「なるほど、そういう考え方があったか」という気付きがあれば、幸いです。
♪I will say the only words I know that you’ll understand.
正攻法の英文法解釈で上の英文の構造を解析すると、次のようになります。
(S)I (V)will say (O)<the only words (1){(O)[which(=the only words)] (S)I (V)know} (2){(O)that(=the only words) (S)you (V)will understand} > 僕はこれからも言い続けるつもりだよ (1){僕が知っている唯一の言葉}にして (2){君が理解するであろう唯一の言葉}でもあるところの その唯一の言葉(=”Michelle, ma belle:ミッシェル、僕の愛しい女性”)を
上の解釈は、それはそれで筋が通るのです・・・もしその「the only words:唯一の言葉(=Michelle, ma belle)」が本当に「僕が知っている&君にも理解してもらえる唯一の(フランス語の)言葉」だとしたら・・・だが実際にはそうではないのです ― この男性(フランス語がよくわからないらしい英国人男性)は、懸案の「Michelle, ma belle」以外にも、あれこれ「フランス語の台詞」で「フランス人のMichelle女史なら(たぶん)理解するであろう台詞」をちゃ~んと口走っているのです ― それが、次のくだり:
“Michelle, ma belle” sont les mots qui vont tres bien ensemble, tres bien ensemble.
(”Michelle, ma belle” =) the only words (1){[which] I know} (2){that you will understand} ----- “Michelle, ma belle:ミッシェル、僕の愛しい女性”という言葉こそが (1){僕が知っている}&(2){君も理解するだろう} の2つの条件を満たすところの 唯一の言葉(the only words)
という図式が、崩れ去ってしまうわけです。
英語の歌詩の意味など全然わからぬままに『ミィーッシェール、マーベル、そんでもってボンカレーびゅんびゅん、トレビャンあんさん!』とかテキトーこいて歌ってた中学生の頃の自分には、上で解き明かした論理の破綻なんてべつにどうでもいいことだったのですが、「自前でビートルズ歌詩完全解明!」を目指して猛勉強しまくったせいもあって俄然英語力が付いてしまった後の(高2~高3頃の)自分としてはもう、『Michelle』の歌詩を口ずさむたびに例の「the only words I know that you’ll understand」の部分が、まるでノドに引っ掛かった魚の小骨みたいに、気になって気になって仕方なくなってしまったのでした・・・
(1つだけ、ってわけではない)僕のたどたどしいフランス語レパートリーの中でも、「この台詞なら確実に君にも理解できるだろうな(you will understand)」と僕が知っている(I know)ところの唯一の台詞(the only words) = the only words {[that] (I know) you’ll understand}
●先行詞【the only】が持つ”強調的”な響きに引きずられて【that】が用いられるわけだが、その場合には当然 (○)<the only words {【that】 I know} {which you’ll understand}> であって (×)<the only words {[which] I know} {【that】 you’ll understand}> になるはずがない
という違和感もあって、やはり何ともしっくりこないわけです。
・・・こうして考えてみると、やはり本来の形態は
the only words {[that] (I know) you’ll understand}
・・・といった感じで、少々拍子抜けさせちゃったかもしれない『Michelle:ミッシェル』とは異なり、もう一つのナゾ英文だった『All you need is love:愛こそはすべて』の歌詩問題には、「コロンブスの卵」というか「目からウロコ」というか「Eureka!:ユーレカ!そうだったのか!(・・・幽霊か?ではない)」的展開が待っているので、どうぞ期待してお読みください!
1967年6月25日、全世界をTV生中継で結ぶ初の試み「Our World:我らの世界」にイギリス代表としてThe Beatlesが出演した際に、アビー・ロード第1スタジオで公開録音された曲、それが『All you need is love:愛こそはすべて』でした。
それほどまでに有名な曲なのですが、この『All you need is love』、歌うには実に難しい歌です・・・作者のJohn Lennonは典型的な「歌詩が先 ⇒ 曲は後付け」のソングライター(彼の相棒のPaul McCartneyは真逆の「曲先・歌詩後」)なのですが、天性の音楽家&詩人のジョンの曲はだいたい「歌詩がメロディに自然に溶け込んで本当に歌いやすい」という一般特性に反して、この『All you need is love』は ― メロディーとの親和性など度外視したようなたどたどしさで ― とにかくメチャクチャ歌いづらいのです!
同じ歌い辛さでも、ポールの曲の場合は「”殺人的”なまでの早口言葉歌詩」が原因で歌いづらい(例:『I’ve just seen a face』)とか「”超人的”なまでに高いキー」が原因で歌いづらい(例:『I’m down』)とかが多いのですが、ジョンの曲にはそういう大変さがほとんどありません・・・ただ、彼の独特のあの声の響きをマネしようとしても到底ムリ、という壁が立ちはだかるだけです。
それが、この『All you need is love』に関しては、作者のジョン自身ですら「作るのにかけた時間より、歌いこなせるようになるまでに要した時間のほうがずっと長い」と言っているほどの歌いづらさ・・・どうやら、”メッセージ優先 / 歌いやすさ二の次”の曲だったようなのです。
そういうわけで、この筆者(之人冗悟)にとって『All you need is love』は(ジョンの曲としては例外的な)”歌唱対象外”の歌だっただけに、その歌詩もかなり長いことさほど気にも留めずにノーマークのままだったのですが、21世紀に入ってから、ビートルズの曲の全ての「正しい英語歌詩」と「正しく解釈した日本語訳」をまとめようという個人的試みに挑んだその時になってから、改めてこの曲の歌詩の難解さに直面して愕然としたのでした・・・その難しさを一言で言うと:
♪John Lennon talked about his opinion of other artists performing Lennon/McCartney songs: “There are only about 100 people in the world who understand our music, George, Ringo, and a few friends around the world. Some of the artists who recorded our numbers have no idea how to interpret them. ・・・ When Paul and I write a song we try and take hold of something we believe in ― a truth. We can never communicate 100 per cent of what we feel but if we can convey just a fraction we have achieved something. We try to give people a feeling ― they don’t have to understand the music if they can just feel the emotion. This is half the reason the fans don’t understand but they experience what we are trying to tell them.” (excerpt from “Flip Magazine” May 1966 issue)
・・・1964年2月1日に初めて全米ヒットチャートNo.1に輝いたThe Beatlesの『I want to hold your hand:抱きしめたい』はそのまま7週間連続首位・・・そのトップの座を奪ったのはやはりビートルズの(本国イギリスでは前年のヒット曲だった)『She loves you:シー・ラヴズ・ユー』・・・その次にトップの座に座った『Can’t buy me love:キャント・バイ・ミー・ラヴ』もまたまたビートルズの曲・・・結局、1964年2月1日から5月2日まで、全米ヒットチャートの第一位は、四ヶ月連続で『イギリスからやってきたザ・ビートルズの”指定席”』だったのです。 ・・・これが、音楽史に残る「the British Invasion:英国勢による米国ヒットチャート侵略」の始まりでした。
●「”歌”で世界を変えるなんて、無理ムリ、世の中そんなに甘くないよ・・・」
・・・確かにその通りかもしれませんが、「歌」を中心に集まった膨大な数の若者たちのウェーブが、時代を(あるいはメディアを通して”世論”を)強烈に揺り動かす原動力となったイベントだって、あるんです: ●Monterey Pop Festival(モントレー・ポップ・フェスティバル):1967年6月16日~18日 ●Woodstock Music and Art Festival(ウッドストック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル):1969年8月15日~17日 ・・・こうした一連の「音楽による世界変革チャレンジ」の一環として、モントレー・ポップ・フェスティバルの翌週に全世界に向けて放たれたメッセージが、『All you need is love:愛こそはすべて』だったのです。
何一つ実際にやってもみないくせに、「無理ムリ、やったってどうせ出来っこないに決まってる・・・」というNEGATIVE WAVE(マイナス波動)ばかり投げ掛けてくる「訳知り顔の世間の連中」に対し、常に「そんなことないってば! 出来るってば!」のPOSITIVE ACTION(前向き行動)で前進し続けたThe BeatlesとJohn Lennonが、全世界の「前向きな若者」の代表として、世界中の「やっぱ、ダメ、だろうな・・・」とうなだれがちな人々に向けて訴えたメッセージソングが『All you need is love』だったはず・・・
●that which can’t be done:できっこない事 ●that which can’t be sung:歌えない事 ●that which can’t be made:作れない(or達成できない)事 ●those who can’t be saved:救いようのない人々 ●that which isn’t known:不可知の事 ●that which isn’t shown:不可視の事
●I have done it!:自分、それ、やってのけたよ! ●I have sung it!:自分、それ、歌ったよ! ●I have made it!:自分、それ、モノにしたよ! ●I have saved them!:自分、彼らを救ったよ! ●I have known it!:自分、それ、知ってるよ! ●I have seen it!:自分、それ、見たよ!
「love:愛」の定義は人の数ほど無数に存在しますが、この筆者(之人冗悟)の(ジョン・レノンに多分にインスパイアされた)「愛の定義」は、「LOVE is YES:愛とは”うん、そうだね!”と相手に向かって歩み寄ること」・・・その対極に位置するのが「HATE is NO:憎悪とは”いや、ダメだ!”と相手をはねのけ背を向けること」 ・・・「無理ムリ、どうせ出来っこないから、やめておけ」の態度は、「NO!」であり「HATE」であり「I don’t love the idea.:そんな事、自分としては、考えたくもないね」であって、「I POSITIVELY HOPE you CAN’T do it!:オマエがそれを出来ないことを、自分は積極的に願うね!」という呪いに他ならないのです。
ただし、ジョン・レノンは「君なら出来る!やってみろ!」なんて無責任な空念仏は唱えていません。 ●君がやってみて出来た事なら、「出来っこない」とは言えないよね ●君が知り得た事ならば、「わかりっこない」とは言えないよね といった逆説的な言い回しを用いて、「最初からダメと決めてかかってる連中を、君の行動で、見返してやりたいとは思わないか?」と誘いかけているだけです。 「頑張れば、きっと夢は叶う!」みたいな何の根拠も責任も重みもないキレイゴトなんて、ジョン・レノンは決して唱えたりしないのです。 ビートルズから離れた「ソロアーティストとしてのJohn Lennon」のメッセージソングとして有名な『Give peace a chance』(1969)だって、日本語訳の「平和を我等に」は完全にマチガイです ― だってジョンは「Give a chance to peace, not just to war:”戦争”ばかりじゃなく、”平和”にだって、機会を与えておくれよ・・・みんなで望めば、平和、不可能とは言えないだろ?」と言っているだけなのですから・・・「Give us peace!:我々に平和をください!」なんて、ジョンは一言も言っていないのです。「平和が実現するとしたら、それは、神様とか政治家とかが恵んでくれたからではなく、大勢の人々が心底それを願って行動したからだ・・・”平和をくれ!”はおかしいだろ? ”戦争はもうやめようよ!”から始めるのが当然だろ? ”どうやったら戦争をやめられるか?”をみんなで必死に考えて、行動して、それで実際終戦まで持って行けたら、嬉しいとは思わないか?」・・・それが、1969年当時泥沼化していたベトナム戦争に対するジョンのメッセージ。 ・・・「他力本願」じゃなく「自ら誰かに向かって歩み寄る」ところから得られる何かを求めるその態度の、その根っこの部分にあるものが ●「LOVE:愛する気持ち」 = 「”NO!”と言って背を向けることなく、”YES!”で前向きに歩み出す心持ち」・・・
・・・といった感じの『All you need is love:愛こそはすべて』の歌詩のナゾ解き、楽しんでいただけたでしょうか?・・・べつに楽しくなかったとしても、その謎解き過程で御紹介した例の「二重制限関係代名詞節の”禁断の逆順解釈”」の結果出来上がった「トンデモNEGATIVEな和訳」の数々、あのジョンの本意から懸け離れた無茶苦茶な日本語を見れば
[There’s] nothing (1){[that] you can say} (2){but you can learn how to play the game} ={about which(=where) you can’t learn how to play the game} 君が口に出して言えるもので、ゲームの演じ方の学びようがないものは何もない ⇒ 君がそれを明快な言葉で語った後で、「何がなんだかワケがわからない」と言うのはおかしい。
[There’s] nothing (1){[that] you can do} (2){but you can learn how to be in time} = {in which(=where) you can’t learn how to be in time} 君が出来る事で、「時間をかければどうにかなるってものでもない」なんてものは何もない ⇒ 君が何かを成し遂げた後で、「いくらやってもムダ」と言うのはおかしい。
・・・一見「ひどくNEGATIVE」に見える言い回しの中に、実は「とてつもなくPOSITIVE」なメッセージを込めたThe Beatles(John Lennon作)の『All you need is love:愛こそはすべて』・・・全世界に向けたメッセージソングでありながらもこの難解さ・・・「俺達の音楽を理解してるやつなんて全世界に100人ぐらいしかいない」と豪語したジョンの真骨頂と言えるこの快作(あるいは怪作?)の全容を解き明かしたところで、「関係詞と挿入」&「関係詞の二重制限」というこれまた(一部)難解極まる英文法テーマの解説も、これにて、おしまい(・・・ご静聴、ありがとうございました・・・)。
・・・Teaching is the best way of learning(教えることは最高の学びである)・・・自ら学んだ知識は、他者に役立てることで、ますます磨かれ、揺るぎない英知として皆さんの脳裏に強固な位置付けを占めるようになるものです・・・ダイヤモンドの原石磨きの場として、この「コメント道場」を積極活用してくださいね!
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一般の掲示板では、自分の質問に誰かが何かコメントを付けるたび、それなりのレスポンスを返すのが「作法」ということになっています・・・が、この「コメント道場」では
●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
・・・ここは「おともだち」と交信するための仲良し広場ではないので、「白山羊さんと黒山羊さんのお手紙交換」みたいなことを延々繰り返していたのでは質問者・回答者双方にとって時間・労力・忍耐力の空費ですし、それ以外の受講者の皆さんにとっても肝心の「質問」・「回答」の部分が「あいさつのこだま」の陰に隠れてしまったのでは迷惑な話になってしまいます。
・・・というわけで、以下の二点の約束事を定めておきますので、皆さんどうぞ御納得の上で質問・回答ください:
◆回答者は、質問者から自分への直接のお礼のコメントがなくても、悪く思わないこと◆