「動名詞(gerund)」の基本形態は
●動詞原形(~)+ing
で、「現在分詞(present participle)」と全く同じ形です。
「形態」が全く同じ「動名詞」と「現在分詞」の識別は、その「用法」により見分けるしかありません(・・・が、後述する通り、両者の境界線はしばしば曖昧です)。
「動名詞」は「動詞を名詞として用いる用法」であり、古い時代の「動名詞」はまだ「いかにも名詞っぽい形態」で(=「冠詞」や「前置詞」を伴いつつ)用いられていました。
動名詞の生成過程ということで、「making gerund:動名詞作り」という表現を例に取ってその歴史的変遷をざーっと概観してみましょう。
●「定冠詞・前置詞つき動名詞」:the making of gerund
これが最も古い動名詞の祖形です。試しにこの「making」という「動名詞」を、同じ意味を表わす「名詞」の「genesis:創造」に変えてみると
the genesis of gerund
となって、何の違和感もなくすんなり現代英語でも通じる「名詞表現」になります。
更に言えば、「映画『スターウォーズ』のメイキングビデオ(=製作現場の舞台裏映像)」のような表現では、現代でもなお次のような「定冠詞&前置詞つき動名詞表現」がごく自然に使われています。
the making of the film “Star Wars”
・・・というわけで、「動名詞」に「冠詞&前置詞」を絡ませる最も根源的な形態は(現代英語でもなお)さほど不自然には感じられない、ということになります。
●「定冠詞欠落・前置詞つき動名詞」:making of gerund
●「定冠詞つき・前置詞なし動名詞」:the making gerund
「動名詞」に「冠詞のみ付ける」・「前置詞のみ付ける」という表現は、「英詩の父」と呼ばれる(”the Canterbury Tales:カンタベリー物語”で有名な)Geoffrey Chauser(1340?-1400)の時代あたりから用いられ始めたようですが、古い時代の英語ならともかく、現代英語ではまずもって使いません。
現代英語では、「冠詞+動名詞+前置詞」のトリオは成立しても「冠詞+動名詞」や「動名詞+前置詞」のペアは成立しない(併用するなら「冠詞&前置詞」双方とも伴う必要がある)と覚えておきましょう。
●「冠詞なし・前置詞なし動名詞」:making gerund
「冠詞」も「前置詞」も伴わないこの形態が、現代英語に於ける「動名詞」の基本形です。
別の言い方をすれば、(先ほどの「the making of the film “Star Wars”」のように)もし「冠詞&前置詞」を伴っておれば(たとえその形態は「~ing」でも)それは「動名詞」ではなく「名詞」である、という捉え方をするのが英語人種の感覚なのです。
日本人の横文字感覚から言っても、「エイジング(aging:経年変化)」・「クリーニング(cleaning:清掃)」・「ランニング(running:走行)」・「トレーニング(training:訓練)」といった「~ing」系の表現は、「名詞」そのものであって「動名詞」とは感じられないでしょう・・・まぁ、日本人の多くは「そもそも動名詞なんて知らない」でしょうが、この感覚は英語人種の場合も同様であって、「よほど動詞的性質が強くない限り、~ingはgerund(動名詞)というよりはnoun(名詞)として意識される」というのが英語世界の現実なのです。
「準動詞(verbals)」と呼ばれる3つの形態の中でも、「動名詞(gerund)」はかなり「名詞寄り(=動詞色が薄い)」ということで、他の2つの準動詞「分詞(participle)」・「不定詞(infinitive)」が「動詞としての柔軟性&躍動感」を色濃く宿しているのとはだいぶ趣が異なります。
「名詞そのもの」の感覚で扱える「動名詞」は、「動詞的躍動感に乏しい」分だけ、日本人の英語学習者にとっては(分詞や不定詞に比べれば)「楽勝」なテーマと言えますが、英語表現の中で使うにはいささか「生硬感(ゴツゴツした感じ)」が目立ってしまうので、実は、あまり多用すべき表現ではありません。
英語人種が「外国人の英語使い」を見分ける際の一つのバロメーターとして、「やたら~ing+ofの表現を(しかも冠詞抜きで!)乱発する連中はガイジンさん」というのがあることを(実際にこれから「gerund:動名詞」の表現の詳説に触れる前の心得として)覚えておくとよいでしょう。
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