euphony(耳に心地良い響き)とcacophony(耳障りな響き)

    
 日本人が英語を話す上で最大の障害の一つは
●日本語は「1音1音独立した音節ブロックを継ぎ合わせる四角四面言語」である
のに対し
●英語は「個々の英単語の”完全な発音”はせず、前後の英単語との連結上最も都合の良い音調へと流れた”変則的だが耳障りでない発音”へと流れる自在変化型言語」である
という相違です。
 判りやすく言えば
●英語は「単語」単位で細切れに読むのではなく「文章」単位でまとめて流し読みする言語である
ということです。
 例えば、次に示す英語の定型句を日本人が読むと「テイク・イット・イージー」という「3つの単語のツギハギ読み」になってしまいますが、英語人種はもちろんそんな四角四面のブロック発音なんてしません。
Take it easy.
気楽にいこうぜ。
 上の「Take it easy」を英語人種が発音すると、日本人の耳には「定期でいいぜ(ティキディーゼ)」のように聞こえます。
 その「音の飛び方」の具体的メカニズムを書くと
1)最初の”Take:ティク”と、2番目の”it:ィット”の前半部”ィ”が、「連結発音(liaison:リエゾン)」現象により「taki:ティキ」という一連の音声ブロックを形成する
2)2番目の”it:ィット”の後半部”t:ト”と、3番目の”easy:イーズィー”が、「連結発音(liaison:リエゾン)」現象により「teasy:トィーズィー」という一連の音声ブロックを形成する
3)最初の音声ブロック「taki:ティキ」と次の音声ブロック「teasy:トィーズィー」の連結部の「t:ト」の破裂音は、両者を円滑に連結する上で響きが悪い「cacophony:不協和音」となるので、これを収まりのよい「d:ド」音に変えて、「taki d easy:ティキ・ド・ィーズィー」へと変形する
4)「taki d easy:ティキ・ド・ィーズィー」の「d ea:ド・ィー」の部分の連結はまだ十分に円滑とは感じられないので、これを更に「デ:d」音(というかむしろ「リ:r」に近い音)に変えて、「taki deasy:ティキディーズィー(あるいはtaki reasy:ティキリィーズィー)」へと変形する
5)「taki deasy:ティキディーズィー(taki reasy:ティキリィーズィー)」の最終部の「easy:ィーズィー」の音は、これに先立つ音声部分が全て短縮化されたのに合わせて「eeze:ィーゼ」へと短縮し、最終的に「takideeze:ティキディーゼ(takireeze:ティキリィーゼ)」の音が出来上がる
という感じになります。
 単語単位ではなく文章全体の流れの中で動く音調の変形過程で「耳障りな不協和音(cacophony)」を極力除去し「耳に心地良い音(euphony)」へと洗練して読まないと、全然英語らしく聞こえません。
 全体としての音調効果を「最適化」された英語の「euphony(耳に心地良い音)」は、言わば「下流に向けて流れる過程で角が取れて円くなった石」のようなもの・・・これに対し、全体としての音調など度外視して「個々の単語の正しい発音」だけにしか意識が向かわない日本人の口から出るツギハギブロック英単語羅列コトバは、「cacophony(耳障りな音)」を絵に描いたような代物・・・両者の距離の隔たりは、そっくりそのまま「生きた英語と死んだ英語の違い」につながります。
 きちんと通じる「生きた英語」を目指すなら、日本人の言語学的本能とも言うべき「単語単位のブロック発音」を意識的に封殺して「文章全体の流れに乗る英語流ストリーミング発音」を身に付けるしかありません。
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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