抑揚(intonation)と強調(stress)

    
 「単語(word)」の中で「最も強く発音する箇所」が「強勢(accent)」であるのに対し、「文章(sentence)」の中で「最も強く発音すべき箇所を強調して読む」ことを、「抑揚(intonation)を付けて読む」あるいは「特定箇所に強調(stress)を置いて読む」と言います。
 「強調(stress)」はまた(特に詩文中では)「強勢(accent)」の意味で用いられる場合もあります。
 極めて大雑把に分けると、英語の「抑揚」は「下降調(↓) / 上昇調(↑) / 平板調(→)」の3パターンに分かれます。
●「下降調(falling intonation)↓」=「断定」・「念押し」・「命令」等の強調的・完全終止の響き
 普通、文章の最後は「下降調(↓)」で締めます。
●「上昇調(rising intonation)↑」=「疑念」・「躊躇」・「未定」・「期待」・「勧誘」等の不安定・不完全終止の響き
 「疑問文」にしたい場合、単純に文の末尾を「上昇調(↑)」で読めば事足ります。
●「平板調(level intonation)→」=「朗読」・「説教」・「相槌」等の非感情的・機械的響き
 ドキュメンタリー番組のナレーションなどは大抵この「平板調(→)」なので、聞き取りやすいのですが、「生きた英語」の抑揚とは微妙に異なるので、「英文聞き取り」の教材にはよいけれど「英語の読み方」の模範教材にはなりません。
 日本語は音調的に平板な言語なので、日本人英語学習者の「抑揚」は、よほど意識して大袈裟なぐらい強烈に凹凸を付けないと、みぃ~んなこの「平板調(→)」になってしまいます!
 さらにまた、英語の「抑揚(音の凹凸)」は、様々な理由や状況によって生じます。
 「意味上大事な箇所」には「stress(強調)」を置いて読みます。
“Where are you <from↑>?” ― “I’m from <California↑>.”
「どこの出身ですか?」―「カリフォルニア出身です」
<↑>の箇所に「stress(強調)」を置いて「上昇調(rising intonation)」で読む。
“Where <to↑>, guys?” ― “To the Nippon <Budokan↑>.”
「君たち、どこへ行くの?」―「日本武道館まで」
 「Where to?:どちらまで?」は「Where [are you going] to?:あなた(がた)はどこへ行く予定ですか?」の略。
 「guys」の部分は「呼び掛け」の挿入。日本語化した横文字の「タフガイ(強い男)」・「ナイスガイ(いいやつ)」からもわかる通り、「guy」は「男・やつ・あいつ(=fellow)」の意味ですが、「アメリカ英語で、複数形の”guys”で、呼び掛けに用いる場合」に限って言えば「男女両方」に使えます。
 「単音節語(monosyllable)」には当然「強勢(accent)のある音節」などというものはありませんが、意味に応じて「intonation(抑揚)」を持つ場合があります。
 例えば、単音節語の「yes(イエス=はい)」を例に取ると
●相手の発言に「はい」と肯定的に答える場合は「下降調(falling intonation)Yes↓」で読む
●相手の発言に何となく相槌打つだけの「うん」の場合は「平板調(level intonation)Yes→」で読む
●誰かに名前を呼ばれて「はぃ?(何か御用でしょうか?)」という場合は「上昇調(rising intonation)Yes↑」で読む
という風に、話の「脈絡(context)」に応じて様々な「抑揚(intonation)」の違いがあり得ます。
 意味の上で特に強弱を付けるべき理由が何もなくとも、英文には必ず音調上の高低差が付き、平板な日本語に比べるとメチャクチャ「凸凹」な感じで読まれます。
Excuse me, what time is it now?
すみませんが、今何時か教えてくれませんか?
 要するに、「抑揚(intonation)のない英文なんて、あり得ない!」のです。
 そしてまた、「強勢(accent)・強調(stress)の狂った英語なんて、通じない!」のです。
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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