まず最初は、英語の「読み書き」に必要な「文字=アルファベット」について解説します。
英文を表記する際には
♪ A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z
の全26文字を用います・・・これらの文字を「アルファベット」と呼びます。
英語の「アルファベット」の26文字は、日本語の「ひらがな・カタカナ(約50文字)」の半分ほどの文字数です。
日本語の読み書きには、「ひらがな」・「カタカナ」さらには「漢字」に習熟する必要があるのに対し、英語の読み書きは「アルファベット26文字」で事足りるのです。
((+)) 「アルファベット」と「いろは」
「アルファベット」の呼び名は、ギリシア文字の最初の「α(アルファ)」と2番目の「β(ベータ)」をくっつけた「アルファベータ」に由来します。
昔の日本語の「かな文字」の最初の3つを取って「いろは」と呼んだのと同じ発想の呼び名です。
ちなみに、日本語の「いろは」は
いろはにほへとちりぬるをわかよたれそつねならむうゐのおくやまけふこえてあさきゆめみしゑひもせす(+ん)
と、48文字(現代日本語の「あいうえお五十音」では”ゐ・ゑ”が実質上死語化したので2文字減って実質46文字)です。
「ひらがな」だらけの「いろは歌」を「仮名漢字交じり」で(意味解説付きで)書くと、次の通りです。
前世の因縁により背負わされることになったこの世の万物の奥深い山道を、日々、謙虚に歩んで
浅き夢見じ酔ひもせず(あさきゆめみしゑひもせす(+ん))
はかない夢を見るような愚かな真似はせずにおこう、現世の憂さから逃避するために酒に酔いつぶれるような真似もしない
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日本語の表記は、以下の2種類の文字を使って行なわれます。
●漢字(・・・表意文字)
「表意文字(ideogramまたはideograph)」=1字1字がその形によってそれぞれ何らかの意味を表わす(パソコン画面上のアイコンのような)文字
古代エジプトの「ヒエログリフ(神聖文字)」や、メソポタミアの「楔形(くさびがた)文字」、中国発祥の「漢字」などが「表意文字」の代表格で、物事の絵を形取って文字にしたものなので「象形(しょうけい)文字」とも呼ばれます。
●ひらがな&カタカナ(・・・表音文字)
「表音文字(phonogram)」=文字が単に音を表わすだけでその字体自体には何の意味もない文字
「表音文字」の代表格が「アルファベット」、日本語の(「漢字」の崩し字体の)「ひらがな・カタカナ」もその仲間です。
「漢字」「ひらがな」「カタカナ」のほかに、アルファベット表記の「横文字」まで入れれば、日本語は「3~4種類の混合表記」ということになり、書き方が相当にややこしい言語と言えます。
これに対し、英語の表記は
●アルファベット26文字(+記号類)だけで全ての記述が完結する
という特徴があります。
日本語に於ける「漢字 / 平仮名の使い分け」のような作法は英語にはなく、極めて単純明快・・・日本語にありがちな「かんじかけずにひらがなかいてははじをかくというじたいじたいがありえない」(漢字書けずに平仮名書いては恥をかくという事態自体があり得ない)というのが英語の特徴です。
その代わり、「綴り字を間違えたインチキ英単語を書いて恥をかく」という事態が頻発するのが英語の特徴と言えます。
その一方で
<二千字>ほどの漢字の絵柄と意味が一致する程度の識字力さえあれば、その漢字の組み合わせで構成される日本語の意味は大抵判別可能
であるのに対し、英語の場合は
たった<二千語>の英単語だけじゃ、中学校レベルの英語教科書も理解できないし、英単語の意味を理解するための英英辞典を読むことすらも難しい
・・・実際、『<たった二千語だけ>で語義解説してみせましょう!』というのを得意気な売り物にしている辞書も英語圏にはあるくらい・・・
という風に
語彙構築(vocabulary building:ボキャビル)の面では、日本語は極楽 / 英語は地獄!
という正反対の特徴があるのです。
日本語の文字数は「**字」(例:「ザ・ビートルズ」なら7字=seven letters)と数えますが、英語の文字数は「**語」(例:”The Beatles”なら2語=two words)と数えます。
日本語のカウントは「文字単位」なので「**字」なのに対し、英語のカウントは(複数文字の集合体としての)「単語単位」なので「**語」なのです。
(+) 「かな文字」は「日本語のアルファベット」かな?
英語の「アルファベット」も日本語の「ひらがな」も、いずれも「表音文字(phonogram)」ですから、日本語の「ひらがな(50音)」を西欧言語になぞらえて「日本語のアルファベット」と呼ぶこともできます。
もっとも、厳密に言うと、日本語の「ひらがな50音」は「音節文字表・字音表(syllabary)」と呼ばれるものであり、「Japanese alphabet(和式アルファベット)」の呼び名はあくまで「類推(似たようなもの)」として許容されるのみなのですが、外国人に日本語の「いろは / あいうえお」を説明する時には、「A KANA-moji is a Japanese alphabet:仮名文字は日本語のアルファベットです」というような紹介の仕方で実用上問題はないでしょう。
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(+) 英語以外のアルファベット
英語以外では、西欧言語の表音文字の源流とされる(古代)ラテン語のアルファベットの総数は23文字、ロシア文字の源流とされる(現代)ギリシア語のアルファベットは全24文字と、いずれも現代の英語よりやや少なめ、現代西欧各国言語のアルファベットの多くは(英語と同じ)26文字です。
現代ロシア語のアルファベットは(ギリシア語に起源を持ちながらも)33文字と10文字近く増えています。
東欧のスラブ語族のアルファベットは西欧諸言語と比べるとかなりの大所帯です。
更にユーラシア大陸をアジア方面へと南下すると、インドの(20以上もある!)公用語のうちの1つであるサンスクリット語(仏典の表記言語で、日本では「梵語:ぼんご」としておなじみ)の場合は49文字と、西欧諸言語のアルファベットと比べて突出して多くなっています。
が、「サンスクリット語」は「表記用文字」というより「字音表(syllabary)」ということで、西欧諸言語のアルファベットとは別物扱い・・・この点、日本語の「いろは / あいうえお」も同じ「字音表」扱いです。
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((>_<)) 表記文字の違いが招く「英語 / 日本語」のテクノロジー格差
たった26文字+少数の記号類だけで表記できてしまう英文の特性をいかして、英語圏では「文字を書くための機械」としての英文タイプライターが(20世紀初頭から)大活躍するようになりました。
これに対し、日本語表記を巡る状況は、英語とは全く対照的です。
●「ひらがな・カタカナ」=50音(実質46文字)
に加えて
●日本国政府選定の標準的日本語表記用の「常用漢字」=(2016年現在)2136字
少し前までは1945字 ― 今後も日本人の知的水準やワープロ打ち出し語の有為転変や政府の気紛れによって永遠に流動or迷走し続ける公算、大。
●使用頻度の高い「JIS第一水準漢字」=(2016年現在)2965字
日本語ワードプロセッサーで「特別な辞書引きなしで」簡単に打ち出せる文字種。
●使用頻度の低い「JIS第二水準漢字」=(2016年現在)3390字
第一水準を超えた「殊更に難しいor古めかしい」文字種・・・辞書の引き出しの奥底から引き出すようにして使う。
という多種多様な文字を駆使した「数千種類の混合表記」で書かれるややこしい特性上、当然ながら日本語は(英語のように)「タイプライターのキーボード上にある文字だけで全ての表記作業を完結」なんて、できません。
表記方法を巡る英語と日本語の違いは、テクノロジーの世界では決定的(というか、日本人の立場から言えば、致命的)で、日本語を英文タイプライター並みにスイスイと(手書き速度を遙かに上回る猛スピードで)入力できる機械の登場は、1980年代末の日本語ワードプロセッサー(=ワープロ)専用機まで待たねばなりませんでした ― 英語圏のタイプライティング文化より70年以上遅いスタートだったわけです!
更にまた、コンピュータ・キーボードからの打ち込みだけで全てが完結する英語と異なり
●かな文字入力 ⇒ 漢字変換候補表示 ⇒ 正しい漢字を選択の上で入力確定
という回りくどい数段階を経ねば日本語の文字入力は完了しません。
しかも、多くの場合そこに更にまた「誤変換された漢字を発見 ⇒ 改めて正しい漢字を選択して修正」という予定外の過重労働が加わります!
例: しょうすいしきったひょうじょう ⇒ 小水・升水・将帥・憔悴しきった表情 ⇒ 小水し切った表情 (○)憔悴しきった表情
言うなれば、日本語は「多重交通事故多発交差点」めいた「マチガイ表現乱発装置」のような言語であり、もっとはっきり言ってしまえば
●プログラミングを初めとするコンピュータ処理には全く不向きな(というか完全に!落第!の)言語
なのです。
しかも、大方の日本人は今なお「携帯電話上での変則日本語入力オンリー」で「キーボード上からのタイピングとは無縁」の人生を送っているわけです・・・
コンピュータ端末と向き合っての文字入力が生活&職業上の基本線である現代世界に於いて、「日本語オンリー、英語ダメ、パソコン使わずケイタイざんまい」の日本人の言語生活がどれほど致命的なハンディキャップであることか ― 知らぬは英語を知らぬ(&ケイタイ命!の)日本人ばかりなり、というこの恐ろしい現実を、「知らぬが仏」で受け流しているうちに、知らぬ間に本当に御陀仏になってしまわぬよう、英文(&コンピュータ)リテラシーはしっかり身に付けておきたいものです。
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・・・Teaching is the best way of learning(教えることは最高の学びである)・・・自ら学んだ知識は、他者に役立てることで、ますます磨かれ、揺るぎない英知として皆さんの脳裏に強固な位置付けを占めるようになるものです・・・ダイヤモンドの原石磨きの場として、この「コメント道場」を積極活用してくださいね!
●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
・・・ここは「おともだち」と交信するための仲良し広場ではないので、「白山羊さんと黒山羊さんのお手紙交換」みたいなことを延々繰り返していたのでは質問者・回答者双方にとって時間・労力・忍耐力の空費ですし、それ以外の受講者の皆さんにとっても肝心の「質問」・「回答」の部分が「あいさつのこだま」の陰に隠れてしまったのでは迷惑な話になってしまいます。
・・・というわけで、以下の二点の約束事を定めておきますので、皆さんどうぞ御納得の上で質問・回答ください:
◆回答者は、質問者から自分への直接のお礼のコメントがなくても、悪く思わないこと◆