♪ I love you, especially your face!
”especially:特に”という「副詞(adverb)」が添えられた以外は特に変わった所のない英文ですが、以下、この例文を元に、英語の「代名詞」(上の例文で言えば、一人称の「I」・二人称の「you」)の持つ「人称」とは別の、もう一つの側面について考えてみましょう。
主語になる場合の形で、代名詞の場合、既に紹介した以下の形態です。
<一人称>単数=I(私) / 複数=we(私達)
<二人称>単数・複数ともにyou(あなた・あなたがた)
<三人称>単数男性=he(彼) / 単数女性=she(彼女) / 単数中性=it(それ) / 複数=they(彼ら・彼女ら・それら)
上の例文「<I:私は> love:好きです you:あなたのことが, especially:特に your:あなたの face:顔が!」では、<I:私>が「love:好き」という動作の主体として働いているので、この<I>を「主語(subject)」と呼びます。
その「主語」として用いられる場合の代名詞の形態が「主格(subjective case)」というわけです。
(($)) 「主語」ではなく「補語」が「主格」になる場合
「主格(subjective case)」は、名詞・代名詞が英文の「主語(subject)」になる場合だけではありません。主語と同格の「主格補語(subjective complement)」になる「SVC(第二文型)」の「C(補語:complement)」になる場合もやはり「主格」として扱われます。
英語の「格(case)」には、「補語(complement)」を表わす特別な(×)「補格(complementary case)」などというものはないので、「主語と同格の主格補語」なら「主格(subjective case)」、「目的語と同格の目的格補語」なら「目的格(objective case)」という風に分類するのです。
「主格補語」は「(×)補格」ではなく「目的格」でもなく「主格」である、という文法的区分に注意しなければならない唯一の場面は
●「関係代名詞(relative pronoun)」に「主格(whichまたはthat)」を使うべきところで、間違って「目的格(whom)」を使ってしまう
というケースです。
(×)John is not the man whom he used to be.
上の英文では、先行詞「the man:男」にかかる関係代名詞節が「whom he used to be:彼がかつてそうであったところの」の形になっていますが、この関係代名詞に「whom」を使ってしまうのは英語初心者が犯す典型的な間違いです。
(S)John (V)is not (C)<the man {(C)XXX (S)he (V)used to be}>.
という文法構造の中の「SVC(第二文型):(S)he (V)used to be (C)XXX」の「C(主格補語)」にあたる「XXX」なのですから、そこに用いるべき関係代名詞の格が「目的格のwhom」であるはずがありません。
では、「主格補語(SVCのC)になる関係代名詞」だから「主格のwho」を用いればよいのか、というと、事はそう簡単には運ばないのです。
(×)John is not the man who he used to be.
「who」は「主語」になる形です。「the man <(C)XXX (S)he (V)used to be>」の「XXX」は「主語」ではなく「補語」なのだから、「”主役”として冒頭に華々しく登場すべき”who”」では、「直後に登場する明らかな”主役”の”he”」と主演の座を巡って関係代名詞節内で「”主格”を巡る内輪揉め」が起こってしまい、具合が悪いのです。
「目的格」の「whom」から末尾の[m]が消失した形の「who」なら、関係代名詞節内で「直後に登場する”主語”と主役がカブる」という問題は生じません・・・自分自身が「目的格」なのだから、「主格」の座は関係代名詞節内の「主語」にあっさり譲ればそれで済むことですから・・・がしかし、ここでの懸案の「who」は「SVCのC=主語と同格になる”主格”補語」として「主格の資格」で「関係代名詞節内の”主語”」と張り合ってしまうので、英語人種の言語生理としては「”主役”の座を巡っての関係代名詞節内での内紛」に感じられ、「whoはダメ!」という感覚になるのです。
英語圏でもズサンな人は、この場面であっさり”who”を使っていたりもしますが、英文法の規範として模倣してよい行動様態ではない(どんな世界にも過ちを犯す人はいるが、だからといって自分もその過ちを犯してよいという法はない)ので、まっとうな文法的考えをもう少し押し進めてこの問題にきっちりケリを付けることにしましょう。
そもそも、「John」という”人”を主題とする関係代名詞の格を問題にする場面なので、ややもすれば「who(主格)か?whom(目的格)か?はたまたwhose(所有格)か?」という風に思考の枠組みが固定しがちですが、実はこの場面で用いるべき正しい関係代名詞は、意外なことに、「which」なのです・・・ただ、現実的には「which」の代用品としての「that」を用いる場合が圧倒的に多いのですが、本質的には”物”扱いの「which」が正解です。
「John:ジョン」という”人”に関して「the man:男」というこれまた”人”を表わす先行詞を巡って展開する話なのに、どうして唐突に”物”に用いるべき関係代名詞「which」が出てくるのか、と不思議に思うかもしれませんが、ここに「補語」というものの本質が現われています。
「補語(complement)」とは、「主語と同格になる主格補語(subjective complement)」であれ「目的語と同格になる目的格補語(objective complement)」であれ、それ自体は「主語(subject)」でもなければ「目的語(object)」でもなく、ただ単に「主語」あるいは「目的語」の特性を具体化するための「補足的記述」でしかないので、「主語」や「目的語」は”人”だとしても、その人物の特性を補足的に記述する「補語」は”物”扱いなのです。
こうして考えれば、冒頭の英文の間違い関係代名詞「whom(”人”に用いる目的格)」は、「which(”物”に用いる主格)」に変えて次のように書くのが正解、ということになるわけです。
♪ John is not the man which he used to be.
ただ、いくら文法論理的には”物”扱いとはいえ、「ジョンという人物」に関する補足的記述を行なう「主格補語」に「”物”感覚の強いwhich」を用いるのには、英語人種としてやはり生理的抵抗感が強いので、現実的にはここに「which」を用いるケースは少なく、補うなら次のように「”人”・”物”両用の便利な主格関係代名詞のthat」を用いる人が圧倒的多数、というのが現実です。
(♪) John is not the man that he used to be.
「主格補語」になる「主格関係代名詞」は、次のように、省略することもできます。
(♪) John is not the man he used to be.
「関係代名詞」が省略されるのは「目的格」の場合のみ(「主格」と「所有格」は省略できない)というのが通り相場ですが、「主語ではなく、主語と同格になるだけの補足的記述にすぎない主格補語」として用いられる「主格関係代名詞」は、「”主格”ではあるけれども、”主人格”ではなく、”御主人様の親戚筋の客人格”にすぎない」ので、省略可能、というわけです。
「関係代名詞として何を用いるべきか?」が問題になる場面以外では、「SVC(第二文型)のCの格は主格である」という文法的区分を意識する場面は、一切ありません。
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目的語になる場合の形で、代名詞の場合、以下の形態に分かれます。
<一人称>単数=me(私を) / 複数=us(私達を)
<二人称>単数・複数ともにyou(あなたを・あなたがたを)
「二人称」(単数・複数同形)の場合、「目的格」も「主格」も全く同じ「you」になります。
<三人称>単数男性=him(彼を) / 単数女性=her(彼女を) / 単数中性=it(それを) / 複数=them(彼らを・彼女らを・それらを)
「三人称・単数・中性」の場合、「目的格」も「主格」も全く同じ「it」になります。
上の例文「I:私は love:好きです <you:あなたのことを>, especially:特に <your:あなたの face:顔を>!」では、「I:私が love:好き」という動作の対象となる語句は2つあって、1つめは「you:あなた」、もう1つは「your face:あなたの顔」です。これらはいずれも動作の行き着く先の目的地にあたるので「目的語(object)」と呼ばれます。
その「目的語」として用いられる場合の代名詞の形態が「目的格(objective case)」というわけです。
(($)) 「目的語」ではなく「補語」が「目的格」になる場合
「目的格(objective case)」は、名詞・代名詞が英文の「目的語(object)」になる場合だけではありません。目的語と同格の「目的格補語(objective complement)」になる「SVOC(第五文型)」の「C(補語:complement)」になる場合もやはり「目的格」として扱われます。
英語の「格(case)」には、「補語(complement)」を表わす特別な(×)「補格(complementary case)」などというものはないので、「主語と同格の主格補語」なら「主格(subjective case)」、「目的語と同格の目的格補語」なら「目的格(objective case)」という風に分類するのです。
「目的格補語」は「(×)補格」ではなく「目的格」である、という文法的区分を意識させられる唯一の場面は
●「SVOC(第五文型)のC=目的格補語」にあたる「関係代名詞(relative pronoun)」に何を使うべきかで迷う
というケースです。
♪ John is not the man that many people believe him to be.
(♪) またはJohn is not the man many people believe him to be.
(♪) (まれ)John is not the man which many people believe him to be.
(♪) (一応アリ)John is not the man whom many people believe him to be.
(♪) (口語では一応アリ)John is not the man who many people believe him to be.
なんだかやたら多くの例文が乱立する形になってしまいましたが、どうしてこんな多くの形態があり得るのか、順を追って説明しましょう。
上の(一番最初の)例文を構造解析すると
(S)John (V)is not (C)the man <(C-2)that (S)many people (V)believe (O)him (C-1)to be>.
という文法構造の中の「SVOC(第五文型)=(S)many people (V)believe (O)him (C-1)to be (C-2)XXX」の「XXX」は、「目的語(O)」と同格になる「目的格補語(objective complement)」です。
そもそも、「John:ジョン」という”人”に関して多くの人々が信じている「the man:人物像」を先行詞とする関係代名詞に何を用いるべきかが問題になる場面なので、ややもすれば「who(主格)か?whom(目的格)か?はたまたwhose(所有格)か?」という風に思考の枠組みが固定しがちですが、実はこの場面で用いるべき正しい関係代名詞は、意外なことに、「which」なのです・・・ただ、現実的には「which」の代用品としての「that」を用いる場合が圧倒的に多いのですが、本質的には”物”扱いの「which」が正解です。
「John:ジョン」という”人”に関して「the man:男」というこれまた”人”を表わす先行詞を巡って展開する話なのに、どうして唐突に”物”に用いるべき関係代名詞「which」が出てくるのか、と不思議に思うかもしれませんが、ここに「補語」というものの本質が現われています。
「補語(complement)」とは、「主語と同格になる主格補語(subjective complement)」であれ「目的語と同格になる目的格補語(objective complement)」であれ、それ自体は「主語(subject)」でもなければ「目的語(object)」でもなく、ただ単に「主語」あるいは「目的語」の特性を具体化するための「補足的記述」でしかないので、「主語」や「目的語」は”人”だとしても、その人物の特性を補足的に記述する「補語」は”物”扱いなのです。
こうして考えれば、「the man {(C-2)XXX (S)many people (V)believe (O)him (C-1)to be}」の「XXX」に用いるべき関係代名詞としては、”物”を表わす”目的格”の「which」が正解ということになって、次の英文が生じるわけです。
John is not the man which many people believe him to be.
ただ、いくら文法論理的には”物”扱いとはいえ、「ジョンという人物」に関する補足的記述を行なう「目的格補語」に「”物”感覚の強いwhich」を用いるのには、英語人種としてやはり生理的抵抗感が強いので、現実的にはここに「which」を用いるケースは少なく、補うなら次のように「”人”・”物”両用の便利な目的格関係代名詞のthat」を用いる人が圧倒的多数、というのが現実です。
John is not the man that many people believe him to be.
そしてまた、”人”を先行詞とする「目的格補語」という感覚に引っ張られて(文法的には正しくないものの)惰性的に「whom」を用いて次のようにやってしまう人がそれなりの数いて、これはこれで(文法学者からも)「まぁ、いいか」と大目に見られていたりします。
John is not the man whom many people believe him to be.
そうして惰性的に生じた「”人”を先行詞とする”目的格”のwhom」を使った構文が発生したならば、当然のごとく、「今の時代、whomなんて使わずにwhoにするのが自然じゃん?」の感覚から、次の形もまた生じるわけです。
John is not the man who many people believe him to be.
同じ「補語」でも「”主格”補語」になる関係代名詞の場合は、「関係代名詞節内での”主格”補語と”主語”との”二重主役”モンダイ」が発生してしまうため「whoはダメ・・・whichはモノっぽくてイヤ・・・thatしかない」という形で「whoの排除」が行なわれますが、「”目的格”補語」になる関係代名詞ならば「関係代名詞節内での”主語”との”二重主役”モンダイ」は発生しないので「whomでいいじゃん・・・ぁ、やっぱwhoのほうがいいか」という感覚で「who系関係代名詞使用オッケー!」の流れになるわけです。
こう次から次へといろんな形が生じてしまったのでは、一体何が”正解”なのかさっぱりわからない感じですが、「目的格補語」になる「目的格関係代名詞」は、それが「目的格」であるからには当然のごとく省略が許されるので、「何が正解かよくわからん目的格関係代名詞は、省略しちゃえばいいじゃん!」ということで(なんだか拍子抜けっぽいけど)次の形が最も一般的だったりします。
John is not the man many people believe him to be.
「関係代名詞として何を用いるべきか?」が問題になる場面以外では、「SVOC(第五文型)のC」の格は「目的格」であって(×)「補格」とか「主格」とか「所有格」とかではない、という文法的区分を意識する場面は、一切ありません。
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(((!))) 「名詞」の「主格 / 目的格」は同一形態
「名詞」の場合、「主格」も「目的格」も全く同一形態(=「通格:common case」)です。
♪ Men love women, women love men. Some men love men, some women love women.
男は女を愛し、女は男を愛する。中には男を愛する男もいれば、女を愛する女もいる。
「men:男性」も「women:女性」も「名詞」なので、「主語になる場合(主格)」も「目的語になる場合(目的格)」も全く形は変わりません。
「主格」と「目的格」の形態が異なるのは「代名詞」だけ・・・「名詞」の場合は「主格=目的格」なのです。
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さて、先程の例文「I love you, especially your face!」では、1つめの目的語「you:あなた」はきっちりと「目的格」の「you」になっているのに、2つめの目的語「your face:あなたの顔」の方は「you」ならぬ「your」という少し変わった形になっていますね。
上例「your:あなたの」のような形態は「所有格(possessive case)」と呼ばれるもので、「代名詞が、直後の名詞(上例で言えばface:顔)の<所有者・持ち主>として働く場合」の形態が「所有格」であり、代名詞の場合、以下に示すような形態を取ります。
所有関係を表わす場合の形で、代名詞の場合、以下の形態に分かれます。
<一人称>単数=my(私の) / 複数=our(私達の)
<二人称>単数・複数ともにyour(あなたの・あなたがたの)
<三人称>単数男性=his(彼の) / 単数女性=her(彼女の) / 単数中性=its(それの) / 複数=their(彼らの・彼女らの・それらの)
「三人称女性単数」の「所有格:her(彼女の)」は「目的格:her(彼女を)」と同形です。
(((!))) 「名詞」の「所有格」は「名詞+’s」
名詞の「所有格」は、「名詞+’s」の形態を取ります。
♪ 例:Mona Lisa’s smile(モナリザの微笑み)
末尾が「-s」で終わる名詞の「所有格」は、わざわざ”s”を重ねずに「-s+’」の形にするのが普通ですが、「-s’s」の形態を取る場合もあります。
♪ 「-s+’」の名詞所有格の例:wolves’ den(オオカミたちの巣穴)
♪ 「-s+s’」の名詞所有格の例:an octopus’s garden(タコの庭)
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《♪♪♪》
先の例文の「you:あなた」・「your face:あなたの顔」の部分を入れ替えて、代名詞の「目的格」・「所有格」について総整理してみると、次のような感じになります。
♪ ●二人称複数の<目的格>&{所有格} I love <you>, especially {your} faces!
私はあなたがたが好きです、とりわけあなたがたの顔が好きです。
一番最初に紹介した例文(二人称単数)「I love <you>, especially {your} face!」と、代名詞の目的格 / 所有格(you / your)の部分は全く同じ形ですが、最後の名詞「faces」に注目してください:”face”+”s”の形になっていますね。
名詞の末尾に”s”が付くのは「複数形」の場合なので(詳しくは後述)、ここでの「you / your」は<二人称複数>であること(単数の「あなたの顔」ではなく複数の「あなたがたの顔」であること)が判ります。
このように、外形では判別不能な「二人称you」の単複の見分けは、「代名詞以外の語形(具体的には、名詞および動詞の末尾)」を手掛かりに判断するのです。
♪ ●三人称単数男性の<目的格>&{所有格} I love <him>, especially {his} face!
♪ ●三人称単数女性の<目的格>&{所有格} I love <her>, especially {her} face!
♪ ●三人称単数中性の<目的格>&{所有格} I love <it>, especially {its} face!
所有格{its}を「it’s」(後述)と間違う人が多いので要注意・・・{所有格}の「it」には「 ‘ (apostrophe:アポストロフィ)」は付きません!
♪ ●三人称複数の<目的格>&{所有格} I love <them>, especially {their} faces!
((($))) 「主語」と「目的語」が同一人称になることは(基本的に)ない
上の一覧表には「一人称(I / We)」の例文がありませんが、これはどうしたわけでしょう?
英語では、「主語」と「目的語」に同一人称の代名詞が用いられることは(基本的に)ありません。次のような英文は(不可能ではありませんが)不自然なのです(だからこそ、上の一覧表には「一人称」の例文がなかったわけです)
(×・△)I love <me>, especially {my} face!
(×・△)We love <us>, especially {our} faces!
「主語」から「目的語」への働きかけを示すものが「動詞」ですが、「目的語への働きかけ」を含む動詞は「他動詞(transitive verb)」と呼ばれます。
「目的語」への働きかけを含まない(「主語」の動作だけで自己完結してしまう)動詞は「自動詞(intransitive verb)」と呼ばれます。
”transitive:他動詞の”という形容詞は”transit:通行・通過・移送”という名詞が元になっており、そこには「A(主語)からB(目的語)へ」の「動き(movement:ムーブメント)」と「方向性(vector:ベクトル)」の2要素が含まれています。
「他動詞(transitive verb)」が「主語」から「目的語」への「動きと方向性」を含むものである以上、「主語と目的語が同一」では「動きも方向性も生じない」ので、具合が悪いのです。
それでもなおかつ「主語と目的語が同一人称になる」英文を敢えて書こうとする場合、「目的語」の部分を「me:私」や「us:私達」ではなく「myself:私自身」・「ourselves:自分達自身」という特殊な形(=再帰代名詞: 後述)に変えるのが英語の(基本的な)約束事です。
♪ I love <myself>, especially my face!(私は<私自身>が好き、特に私の顔が!)
♪ We love <ourselves>, especially our faces!(我々は<我々自身>が好き、特に我々の顔が!)
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総括すると、「代名詞」には以下の3つの「格(case)」がある、ということになります。
♪ ●主語になる「主格」=I / we / you(単数) / you(複数) / he / she / it / they
♪ ●目的語になる「目的格」=me / us / you(単数) / you(複数) / him / her / it / them
♪ ●所有関係を表わす「所有格」=my / our / your(単数) / your(複数) / his / her / its / their
人称別にまとめて「主格 / 所有格 / 目的格」の順で書き出せば、次のようになります。
♪ ●一人称複数(自分たち)=we / our / us
♪ ●二人称単数(あなた)および二人称複数(あなたがた)=you / your / you
♪ ●三人称単数男性(彼)=he / his / him
♪ ●三人称単数女性(彼女)=she / her / her
♪ ●三人称単数中性(それ)=it / its / it
♪ ●三人称複数(彼ら・彼女たち・それら)=they / their / them
($) 「代名詞」以外の格変化が(ほぼ)消滅している英語
英文法上の語尾変化(専門用語で「declension:屈折」と呼ばれるもの)とは、以下の各条件に応じて語尾の形が変わる現象のことです。
●数(number)=「単数(singular) / 複数(plural)」
●性(gender)=「男性(masculine) / 女性(feminine) / 中性(neuter)」
●格(case)=「主格(subjective case) / 所有格(possessive case) / 目的格(objective case)」
「代名詞」の場合には更に以下の条件が加わります。
●人称(person)=「一人称(first person) / 二人称(second person) / 三人称(third person)」
「名詞」の場合は「常に三人称」です。「一人称・二人称の代名詞」は存在しても、「一人称・二人称の名詞」などというものは存在しません。
上記の条件に応じ、現代英語の「代名詞」の語形は変化するわけですが、実は、古い時代の英語では、「代名詞」のみならず、「名詞」・「形容詞」にもまた(現代ドイツ語のように)複雑な「declension(語尾変化・屈折)」があったのです。
が、「無意味に煩雑な規則は時代を経るにつれて単純化され消滅する」という英文法の鉄則に従い、「名詞」・「形容詞」の語尾変化は現代ではほとんど消滅し、残っているのは以下に示す例のみです。
●「名詞」の「所有格」=<名詞+’s>
♪ men’s wear(メンズウェア) / women’s clothes(女性服)
「主格」と「目的格」は「名詞」の場合は全く同一形(=両者をまとめて「通格」と呼ぶこともある)
●「名詞」の「複数形」=(基本的には)<名詞+s / es>
♪ a girl’s photo(一人の女の子の写真) / girls’ photos(複数の女の子たちの写真)
●「名詞」の「男性(masculine)」 / 「女性(feminine)」
このように「男性 / 女性」に応じて別の語形を持つ「名詞」は、現代英語には非常に少数しかなく、ラテン系諸言語の名詞の厳密な「男性 / 女性」の性別とは全く比べものにならぬ例外的事例です。
●「形容詞」の「this(これ) / these(これら)」・「that(あれ) / those(あれら)」に於ける「単数 / 複数」
辞書語義的には「形容詞」ではなく「指示代名詞」扱いですが、この「this / these」・「that / those」のみが、現代英語に生き残った「単数形 / 複数形の違いを持つ形容詞」です。
●「形容詞・副詞」の「比較級(comparative degree)」 / 「最上級(superlative degree)」
♪ 「原級:slow(ゆっくり) / 比較級:slower(もっとゆっくり) / 最上級:slowest(最もゆっくり)」
「COMPARISON:比較」のテーマで詳述しますが、元々の「形容詞・副詞」の語形(=「原級(positive degree)」)の語尾を”-er”に変化させたものが「比較級(comparative degree)」、”-est”に変化させたものが「最上級(superlative degree)」と呼ばれます。
「比較級(comparative degree)の-er」 / 「最上級(superlative degree)の-est」の語尾変化のことを、初級段階を卒業した日本人英語学習者はかなり面倒な代物と感じるものです・・・が、こうした厄介な「declension」が(「比較」の文脈以外でも)常に「名詞」・「形容詞」に付き物のラテン系諸言語やドイツ語の大変さを思えば、現代英語がどれほど単純化されているか、初学者にとって習得が易しい言語であるか、想像がつくことでしょう。
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・・・他の受講者の皆さんにも役立つ質問だと判断された場合のみ(1週間以内に)表示されます。
・・・Teaching is the best way of learning(教えることは最高の学びである)・・・自ら学んだ知識は、他者に役立てることで、ますます磨かれ、揺るぎない英知として皆さんの脳裏に強固な位置付けを占めるようになるものです・・・ダイヤモンドの原石磨きの場として、この「コメント道場」を積極活用してくださいね!
●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
・・・ここは「おともだち」と交信するための仲良し広場ではないので、「白山羊さんと黒山羊さんのお手紙交換」みたいなことを延々繰り返していたのでは質問者・回答者双方にとって時間・労力・忍耐力の空費ですし、それ以外の受講者の皆さんにとっても肝心の「質問」・「回答」の部分が「あいさつのこだま」の陰に隠れてしまったのでは迷惑な話になってしまいます。
・・・というわけで、以下の二点の約束事を定めておきますので、皆さんどうぞ御納得の上で質問・回答ください:
◆回答者は、質問者から自分への直接のお礼のコメントがなくても、悪く思わないこと◆