主格(subjective case)・目的格(objective case)・所有格(possessive case)

    
I love you.
私はあなたを愛しています。
 上の英文(I love you:アイ・ラブ・ユー)は、おそらく、英語を知らない日本人でも誰もが知っている最も有名な英文でしょう。
 あんまり当たり前すぎて意外性もなくてこのままではあまりにも芸がない感じなので、上の例文にもう一ひねり加えて次のように書き換えてみましょう。
I love you, especially your face!
君が好き、特に、君の顔が好き!
 ”especially:特に”という「副詞(adverb)」が添えられた以外は特に変わった所のない英文ですが、以下、この例文を元に、英語の「代名詞」(上の例文で言えば、一人称の「I」・二人称の「you」)の持つ「人称」とは別の、もう一つの側面について考えてみましょう。
 その側面とは「格(case)」と呼ばれるもので、具体的には次の3つに分かれます。
●主格(subjective case:主語になる形)
●目的格(objective case:目的語になる形)
●所有格(possessive case:所有関係を表わす形)
 以下、これら3つの「代名詞の格」について、詳しく見てゆきましょう。
 主語になる場合の形で、代名詞の場合、既に紹介した以下の形態です。
<一人称>単数=I(私) / 複数=we(私達)
<二人称>単数・複数ともにyou(あなた・あなたがた)
<三人称>単数男性=he(彼) / 単数女性=she(彼女) / 単数中性=it(それ) / 複数=they(彼ら・彼女ら・それら)
 上の例文「<I:私は> love:好きです you:あなたのことが, especially:特に your:あなたの face:顔が!」では、<I:私>が「love:好き」という動作の主体として働いているので、この<I>を「主語(subject)」と呼びます。
 その「主語」として用いられる場合の代名詞の形態が「主格(subjective case)」というわけです。
 目的語になる場合の形で、代名詞の場合、以下の形態に分かれます。
<一人称>単数=me(私を) / 複数=us(私達を)
<二人称>単数・複数ともにyou(あなたを・あなたがたを)
 「二人称」(単数・複数同形)の場合、「目的格」も「主格」も全く同じ「you」になります。
<三人称>単数男性=him(彼を) / 単数女性=her(彼女を) / 単数中性=it(それを) / 複数=them(彼らを・彼女らを・それらを)
 「三人称・単数・中性」の場合、「目的格」も「主格」も全く同じ「it」になります。
 上の例文「I:私は love:好きです <you:あなたのことを>, especially:特に <your:あなたの face:顔を>!」では、「I:私が love:好き」という動作の対象となる語句は2つあって、1つめは「you:あなた」、もう1つは「your face:あなたの顔」です。これらはいずれも動作の行き着く先の目的地にあたるので「目的語(object)」と呼ばれます。
 その「目的語」として用いられる場合の代名詞の形態が「目的格(objective case)」というわけです。
 さて、先程の例文「I love you, especially your face!」では、1つめの目的語「you:あなた」はきっちりと「目的格」の「you」になっているのに、2つめの目的語「your face:あなたの顔」の方は「you」ならぬ「your」という少し変わった形になっていますね。
 上例「your:あなたの」のような形態は「所有格(possessive case)」と呼ばれるもので、「代名詞が、直後の名詞(上例で言えばface:顔)の<所有者・持ち主>として働く場合」の形態が「所有格」であり、代名詞の場合、以下に示すような形態を取ります。
 所有関係を表わす場合の形で、代名詞の場合、以下の形態に分かれます。
<一人称>単数=my(私の) / 複数=our(私達の)
<二人称>単数・複数ともにyour(あなたの・あなたがたの)
<三人称>単数男性=his(彼の) / 単数女性=her(彼女の) / 単数中性=its(それの) / 複数=their(彼らの・彼女らの・それらの)
 「三人称女性単数」の「所有格:her(彼女の)」は「目的格:her(彼女を)」と同形です。
《♪♪♪》
 先の例文の「you:あなた」・「your face:あなたの顔」の部分を入れ替えて、代名詞の「目的格」・「所有格」について総整理してみると、次のような感じになります。
●二人称複数の<目的格>&{所有格} I love <you>, especially {your} faces!
私はあなたがたが好きです、とりわけあなたがたの顔が好きです。
 一番最初に紹介した例文(二人称単数)「I love <you>, especially {your} face!」と、代名詞の目的格 / 所有格(you / your)の部分は全く同じ形ですが、最後の名詞「faces」に注目してください:”face”+”s”の形になっていますね。
 名詞の末尾に”s”が付くのは「複数形」の場合なので(詳しくは後述)、ここでの「you / your」は<二人称複数>であること(単数の「あなたの顔」ではなく複数の「あなたがたの顔」であること)が判ります。
 このように、外形では判別不能な「二人称you」の単複の見分けは、「代名詞以外の語形(具体的には、名詞および動詞の末尾)」を手掛かりに判断するのです。
●三人称単数男性の<目的格>&{所有格} I love <him>, especially {his} face!
私は彼が好き、特に彼の顔が!
●三人称単数女性の<目的格>&{所有格} I love <her>, especially {her} face!
私は彼女が好き、特に彼女の顔が!
●三人称単数中性の<目的格>&{所有格} I love <it>, especially {its} face!
私はそれが好き、特にその顔が!
 所有格{its}を「it’s」(後述)と間違う人が多いので要注意・・・{所有格}の「it」には「 ‘ (apostrophe:アポストロフィ)」は付きません!
●三人称複数の<目的格>&{所有格} I love <them>, especially {their} faces!
私は彼ら(彼女ら・それら)が好き、特にその顔が!
 総括すると、「代名詞」には以下の3つの「格(case)」がある、ということになります。
●主語になる「主格」=I / we / you(単数) / you(複数) / he / she / it / they
●目的語になる「目的格」=me / us / you(単数) / you(複数) / him / her / it / them
●所有関係を表わす「所有格」=my / our / your(単数) / your(複数) / his / her / its / their
 人称別にまとめて「主格 / 所有格 / 目的格」の順で書き出せば、次のようになります。
●一人称単数(自分)=I / my / me
●一人称複数(自分たち)=we / our / us
●二人称単数(あなた)および二人称複数(あなたがた)=you / your / you
●三人称単数男性(彼)=he / his / him
●三人称単数女性(彼女)=she / her / her
●三人称単数中性(それ)=it / its / it
●三人称複数(彼ら・彼女たち・それら)=they / their / them
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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