一人称・二人称・三人称

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 英語の文法を学ぶ上でまず最初に把握すべきテーマは、「人称(person)」の区分です。
 英語では、全ての「人・物」は
●一人称:1st person=自分(たち)
●二人称:2nd person=あなた(がた)
●三人称:3rd person=彼(ら)・彼女(ら)・それ(ら)
の三種類の人称に区分されます。
 「人称(person)」という名称ですが、そこには「それ(it) / それら(they)」といった「<人間>以外の<物>」も含まれます。
 それぞれの人称を表わす「代名詞」を整理すると、次のようになります。
Ⅰ)一人称(first person)=語り手または文章の書き手
●一人称単数=I(私)
●一人称複数=we(私たち)
Ⅱ)二人称(second person)=語り手の眼前にいる聞き手または文章の読み手
●二人称単数=you(あなた)
●二人称複数=you(あなたがた)
 二人称の代名詞だけは、「単数 / 複数」に外形上の区別はなく、どちらにも同じ”you”を用います。
Ⅲ)三人称(third person)=その場にいない第三者
●三人称単数・男性=he(彼)
●三人称単数・女性=she(彼女)
●三人称単数・中性=it(それ)
●三人称複数=they(彼ら・彼女ら・それら)
 三人称の代名詞だけは、「単数 / 複数」に加えて、単数形に「男性 / 女性 / 中性(=人以外の物)」の性別区分があります。
 「三人称複数」の代名詞は「男性 / 女性 / 中性」の区分はなく、どれも同じく”they”になります。
 「名詞」は常に「三人称(単数 / 複数)」になります。
 上で紹介した代名詞の「I / we / you(単数) / you(複数) / he / she / it / they」はいずれも「文章の主語」として用いる場合の形(=主格)です。
 これ以外にも、代名詞には「目的語として用いる語形(=目的格)」や「所有関係を表わす語形(=所有格)」が別にあるのですが、それらについては後述します。
 「格(case)」とは、「代名詞」および「名詞」の語形が、他の語句(「動詞」・「名詞」)との関係(使われる場面=ケース)に応じて変化する現象を指します。
 英語には以下の3種類の「格(case)」があります。
●主格(subjective case)・・・「名詞」・「代名詞」が「主語」になる場合の「格」
●目的格(objective case)・・・「名詞」・「代名詞」が「目的語」になる場合の「格」
 「名詞」の場合、「主格」も「目的格」も全く同一の語形になります。
 「名詞の主格&目的格」をまとめて「通格(common case)」と呼ぶ場合もあります。
●所有格(possessive case)・・・「名詞」・「代名詞」が「所有」の意味を表わす場合の「格」
 「名詞」の「所有格」は「名詞+’s」の語形(例:John’s guitar:ジョンのギター)になります。
 「代名詞」の「所有格」は人称(一人称・二人称・三人称)および数(単数・複数)ごとに異なります。
 「目的格」と「所有格」については後述するまで保留としておいて、このすぐ後の解説ではもっぱら「代名詞」の「主格(=主語になる形)」に絞って「一人称・二人称・三人称」の意味と形に慣れてもらうことにしましょう。
「一人称(first person)」=文章の書き手(話し手)
●一人称単数=I
 日本語の「私(俺・あたし・僕・etc.)」に当たります。
●一人称複数=we
 日本語の「私達・我々・うちら・俺達・etc.」に当たります。
 一人称の人称代名詞には「単数 / 複数」による相違(だけ)があります。
 「性別」による違いはありません ― 日本語に付き物の「感情温度による呼称の使い分け」も英語にはありません。
 「僕」も「私」も「あたし」も「俺」もみな男女平等すべからく単数は「 I(アィ) 」であり、「俺達」も「あたしたち」も関係なく複数なら「we(ウィ)」です。
 一人称単数代名詞は、文頭でも文中でも常に大文字の「 I 」を使い、小文字の「 i 」にはしない点に要注意です。
「二人称(second person)」=文章の書き手(話し手)に対する読み手(聞き手)
 平たく言えば「話し手・聞き手の眼前にいる相手」に語りかける時の人称です。
●二人称単数=you
 日本語の「あなた・君・お前・etc.」に当たります。
●二人称複数=you
 日本語の「あなたがた・君達・お前ら・etc.」に当たります。
 英語の二人称は非常に単純で、「単数 / 複数」・「性別」による違いはありません。
 日本語に付き物の「感情温度による呼称の使い分け」も英語にはありません。
 「貴男(がた)」も「貴女(がた)」も「君(たち)」も「お前(たち)」も「てめぇ(ら)」も「きさま(ら)」も、どれもみな単一の「you」で表わされます。
「三人称(third person)」=文章の書き手(話し手)でも読み手(聞き手)でもない第三者
 平たく言えば「その場にいない誰かや何か」を引き合いに出す時の人称です。
●三人称単数・男性=he
 日本語の「彼・やつ・あの男・etc.」に当たります。
●三人称単数・女性=she
 日本語の「彼女・あの娘・あの女・etc.」に当たります。
●三人称単数・中性=it
 日本語の「それ・そいつ・etc.」に当たります。
●三人称複数=they
 日本語の「彼ら / 彼女たち / それら・etc.」に当たります。
 三人称の人称代名詞には、「単数 / 複数」の区別に加えて、単数の場合の「男性 / 女性 / 中性」の相違があります。
 日本語に付き物の「感情温度による呼称の使い分け」は英語にはありません。
  「彼・やつ・あいつ・あんちくしょう」 / 「彼女・あいつ・あの女・あのアマ」 / 「それ・そいつ」 / 「彼ら・彼女ら・やつら・あいつら・あの連中」、日本語には多種多様な呼び方がありますが、英語の三人称代名詞に直せば「he / she / it / they」の4つだけです。
 三人称複数では、性別に無関係に単一の「they」を用います。
 英語が苦手な日本人の多くは、複数形の「they」を和訳する際、何でもかんでも「彼ら」と訳してしまいます。
 「女性の複数形」を「彼ら」と訳すのはさほど問題ありません。無理に「彼女ら」と訳さずとも、「彼ら」で通用します。
 古典時代の日本語で「彼」が(男・女の性別に無関係に)「その場にいない第三者」の意味で用いられていた名残かもしれません。
 しかしながら、「人以外の物事」を表わす「they」を「彼ら」と訳すのは明らかに間違いです。きちんと「それら」と訳し分けましょう。
 お待たせしました: 先程簡単に紹介しながら軽く保留しておいた「代名詞の(主格以外の)格のすべて」について、以下で詳しく解説します。
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コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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