(((#))) 強勢(アクセント)の意味
「音節(syllable)」が2つ以上ある英単語(=polysyllable:多音節語)では、そのいずれかの音節(の母音の部分)が他の音節よりも(!必ず!)強く発音されます。これを「強勢(accent)」と呼びます。
きちんと通じる英語を話すには、「強勢(accent)のある音節」を強く発音して音声的なメリハリ(=音の凹凸)を付けることが最も大事な心得になります。
「単音節語(monosyllable)」(例:「yes:イエス」 / 「no:ノー」)には「発音上の区切り」がないので、「強勢(accent)のある音節」もありません。たった一つしかない音節にたった一つしかない母音が当然のごとく強く発音される、ただそれだけのことです・・・強勢の区別があるのは、「2音節以上」を持つ英単語だけです。
辞書を見ると、「単音節語」の「what(何)【(h)wɑ́t】」や「yes(はい)【jés】」にも(母音の上に)アクセント記号が振ってありますが、これは単なる惰性のようなもので、「単音節語に母音は一つ」であり「アクセント(強勢)は常に母音に置かれる」以上、「単音節語ではアクセント(どこを強く発音するか)を意識する必要はない=アクセント記号を振る意味がない(けど、便宜上振ってある)」のです。
「多音節語」には「一番強く発音される音節 > 二番目に強く発音される音節 > 三番目に強く発音される音節・・・」といった具合に「複数の強勢(アクセント)」が置かれることになりますが、英語を正しく発音する上で重要なのは「第一強勢(primary accent)」のみ、それ以外のアクセントは意識する必要はありません・・・意識せずとも、第一強勢さえ強く読めば、後は自然と「英語らしい凸凹な発音」になるからです。
(($)) 1単語内に「強勢」が複数ある場合
基本的に「1つの英単語の中で最も強く発音される部分(primary accent:第一強勢)は1つ」なのですが、例外的に「1つの英単語の中に、プライマリーアクセント(最も強く発音される強勢)が2つ(以上)ある場合」もあります。
●ハイフン(-)でつながれた複数連結語句のそれぞれに第一強勢(プライマリーアクセント)があるもの
♪ 例:
A frican-Am
e rican(アフリカ系アメリカ人=黒人の) /
au dio-v
i sual(視聴覚=AVの) / c
o ck-a-doodle-d
oo (コケコッコー=ニワトリの鳴き声) / c
o st-eff
e ctive(費用対効果=コスパがいい) /
I ndo-Ch
i na(インドシナ) / J
e kyll-and-H
y de(ジキル&ハイド=二重人格の) / tw
e nty-four-s
e ven(1日に24時間・1週間に7日間=四六時中いつでも) / etc,etc.
英語では、「-(ハイフン)」で連結してしまえば(たとえどんなに長い文字列でも)「単語扱い」になります。
「damned-if-you-do-damned-if-you-don’t(やれば地獄、やらねば地獄=どっちに転んでもダメな八方ふさがり)」のように「文章そのもの」に思える文字列であってもそれが「ハイフン連結」されていれば「1単語扱い」なのです。
・・・このような「ハイフン連結型英単語」では、連結されたそれぞれの構成要素の中にある「第一強勢」がそのまま強く発音されて、結果的に「1単語の中に複数の第一強勢あり」という変則的事態が生じることもあるわけです。
●ハイフン(-)なしの実質的複数連結語の中に複数の第一強勢(プライマリーアクセント)があるもの
♪ 例:h
a ndm
a de(ハンドメイド=お手製の) / fl
a tf
oo ted(足底が平べったい=扁平足の) / h
a rdw
o rking(勤勉な) /
i nb
o rn(生まれながらの) /
i nb
ou nd(インバウンド=国外から国内への) / etc,etc.
上に列挙したのは(「-(ハイフン)」は含まないけれども)実質的に「複数語句連結型英単語」です。こうした語句の場合もやはり、その複数構成要素のそれぞれが「第一強勢」を保持し続けた結果として「1単語の中に複数の第一強勢あり」という変則的発音が生じる場合があります。
●アジア系の「国名・地名」を表わす英単語(ハイフン(-)なし)の中に複数の第一強勢(プライマリーアクセント)があるもの
♪ 例:N
a nj
i ng(南京:ナンキン) / Py
o ngy
a ng(平壌:ピョンヤン) / T
ai p
ei (台北:タイペイ) / T
ai w
a n(台湾:タイワン) / etc,etc.
上に紹介した「アジア系の地名・国名」は、複数語句の連結語ではないにもかかわらず「1単語の中に複数の第一強勢あり」という変則的発音になっています。この特殊な発音は「ヨーロッパ系の地名」には見られません。「インドヨーロッパ系言語(含 英語)の基本構成単位は”字(letter)”ではなく”語(word)”である」のに対し、「アジア系の言語(含 日本語)では”1文字1文字(each letter)”を独立して発音する(I love you⇒ア・イ・ラ・ブ・ユ・ー)」という特性の違いがよく現われた現象と言えるでしょう。
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(((#))) 第一強勢(primary accent)の示し方
《♪♪♪》
英単語の最も強く発音される「第一強勢(primary accent)」は
●最も強く発音される「母音字」の上に「´(右ハネ記号)」を振る
という形で示されます。 具体的には
á í ú é ó
のように、通常のアルファベットの上に第一強勢記号(´)が付加された形になるか、または、発音専用の特殊アルファベットの上に第一強勢記号(´)が付加された次の形になります。
ʌ́ ɑ́ ǽ ə́ ɔ́
♪ 例:pri・ma・ry【práimeri】(第一の) / ac・cent【ǽksent】(強勢)
「強勢(accent)」が置かれるのは「母音(vowel)」のみです。「子音(consonant)」にはアクセントは置きません。
但し、【発音記号】ではなく「綴り字そのもの」の上に強勢を示す時は、「母音字」ではない「子音字」の「y」の上に「アクセント記号(´)」が付いた「ý」の形になる場合があります。
♪ 例:hydrogen【háidrəʤɚn】(水素)
・・・【ái】のアクセントが「y」の上にあるので、「子音字”y”」の上に第一強勢記号を置いて⇒hý・dro・gen
((+)) Webster式(=米式)アクセント表記
アメリカの辞書では、「第一強勢のある母音のアルファベットの上」ではなく「第一強勢のある音節の終わり」に「´」を付ける作法も一般的です。
辞書作成者にとってはラクな書き方ですが、英語学習者にとってはわかりづらい強勢表示法で、少なくとも日本の英語教育現場では一般的ではありません。
♪ 例: Web´ster’s Amer´ican ac´cent indica´tion(ウェブスター流米式強勢表示)
日本の英語教育現場での一般的表記だと、次のようになります。
♪ Wébster’s Américan áccent indicátion
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((>_<)) 困った受験生用の「アクセント問題」対処法
大学入試も間近になると、多くの受験生は「アクセント問題対策本」を引っ張り出して、「英単語の強勢の一般原則」にすがりつくことで得点を伸ばそうとします・・・が、はっきり言って、そんなことしてる人に「正しく通じる英語」が話せる道理がありません。
英単語のアクセントに「一般原則」がないとは言いませんが、「原則」と呼べるほどの体系的知識としては成立せぬほど些末な情報でしかない上に、例外も非常に多く、そんな代物をいくら必死に覚えたところで、現実の英語世界はおろか大学入試問題すらマトモに乗り切れはしません。
「原則論」に頼った時点で負け、英単語のアクセントも発音も「各単語ごとに個別」にきっちり声に出して読んで音声として脳味噌+舌先に刻み込むのが正解です。
それでも何でもとにかく試験対策用に、ワラにもすがる思いで「英単語アクセント問題で生き残るための秘訣」を知りたい!という人のために、一つだけ、かなり役立つ「アクセント問題サバイバル術」を教えておくと
●日本人が横文字カタカナ英単語として使っている代物は(少なくとも試験問題にわざわざ出題されてるようなヤツは)九分九厘「アクセントの位置が狂ってる」と思うべし
ということになります。
「ウソだ~!?」と思う人のためにいくつか証拠を列挙しておくので、ふだん何気なくしている「ヨコモジ発音」と、辞書に書いてある「正しいアクセント」とを比べてみてください。
((#)) 和風ヘンテコアクセント横文字の例
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「英単語の強勢(アクセント)」には頼れる原則と呼べるようなものはないのですが、それでもなんとか「法則めいたものを知りたいっ!」という人のために(秘密特集の形で)一応の目安を掲げておきます(・・・が、あまりアテにはなりませんよ)。
・・・他の受講者の皆さんにも役立つ質問だと判断された場合のみ(1週間以内に)表示されます。
・・・Teaching is the best way of learning(教えることは最高の学びである)・・・自ら学んだ知識は、他者に役立てることで、ますます磨かれ、揺るぎない英知として皆さんの脳裏に強固な位置付けを占めるようになるものです・・・ダイヤモンドの原石磨きの場として、この「コメント道場」を積極活用してくださいね!
●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
・・・ここは「おともだち」と交信するための仲良し広場ではないので、「白山羊さんと黒山羊さんのお手紙交換」みたいなことを延々繰り返していたのでは質問者・回答者双方にとって時間・労力・忍耐力の空費ですし、それ以外の受講者の皆さんにとっても肝心の「質問」・「回答」の部分が「あいさつのこだま」の陰に隠れてしまったのでは迷惑な話になってしまいます。
・・・というわけで、以下の二点の約束事を定めておきますので、皆さんどうぞ御納得の上で質問・回答ください:
◆回答者は、質問者から自分への直接のお礼のコメントがなくても、悪く思わないこと◆