英単語の「強勢(accent)の法則」めいたもの

    
 英語の「多音節語」の「第一強勢(primary accent)」の位置について、おおよその目安を示すと、以下のようになります。
☆☆=例外なき鉄則
◎=例外が少ない原則
○=例外チラホラある原則
△=概してそうなることが多い程度の現象
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●「-cial, -tial:シャル」 com・mer・cial(宣伝)【kəmə́ː(r)ʃl】 / mar・tial(軍隊の)【mɑ́ː(r)ʃl】
●「-cian, -sian, -sion, -tian, -tion:シャン」 ma・gi・cian(魔術師)【məʤı́ʃn】 / Rus・sian(ロシアの)【rʌ́ʃɚn】 / ex・ten・sion(拡張)【iksténʃɚn】 / Mar・tian(火星人の)【mɑ́ː(r)ʃɚn】 / ex・pe・di・tion(遠征)【ekspədı́ʃɚn】
●「-cient, -tient:シェント」 pro・fi・cient(熟達した)【prəfı́ʃɚnt】 / sen・tient(感覚を持った)【sénʃɚnt】
●「-cience, -tience:シェンス」 con・science(良心)【kɑ́nʃɚns】 / im・pa・tience(せっかち)【impéiʃɚns】
●「-cheon:チョン」 lun・cheon(昼食会)【lʌ́n(t)ʃɚn】
●「-gion, -geon:ジョン」 re・li・gion(宗教)【rilı́ʤɚn】 / dun・geon(地下牢)【dʌ́n(d)ʒɚn】
●「-gious, -geous:ジャス」 sac・ri・le・gious(神聖を汚すような)【sækrilı́ʤəs】 / gor・geous(豪華な)【gɔ́ː(r)ʤəs】
●「-cious, -tious:シャス」 con・scious(意識的な)【kɑ́nʃəs】 / cau・tious(用心深い)【kɔ́ːʃəs】
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●「-ity, -ety:イェティ」 op・por・tu・ni・ty(機会)【ɑpə(r)t(j)úːnəti】 / so・ci・e・ty(社会)【səsáiəti】
●「-ify, -efy:イェファイ」 i・den・ti・fy(身元確認する)【aidéntəfai】 / liq・ue・fy(液化する)【lı́kwəfai】
●「-sive:シブ」 ex・plo・sive(爆発性の)【iksplóusiv】
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●「-ical」 i・den・ti・cal(全く同一の)【aidéntikl】
●「-ican」 Mex・i・can(メキシコの)【méksikn】
●「-isan」 par・ti・san(ゲリラ隊員)【pɑ́ː(r)təzɚn】
●「-itan」 cos・mo・pol・i・tan(国際人)【kɑzməpɑ́lətn】
●「-ia」 in・tel・li・gent・si・a(インテリ)【inteliʤéntsiə】
●「-io」 port・fo・li・o(有価証券明細表)【pɔː(r)tfóuliou】
●「-ian」 co・me・di・an(喜劇役者)【kəmı́ːdiən】
●「-eon」 pi・geon(鳩)【pı́ʤɚn】
●「-iar」 fa・mil・iar(慣れ親しんだ)【fəmı́ljə(r)】
●「-ior」 sen・ior(年長の)【sı́njə(r)】
●「-iant」 var・i・ant(変異体)【véɚriənt】
●「-ient」 con・ven・ient(便利な)【kənvı́ːniənt】
●「-ience」 in・con・ven・ience(不便)【inkənvı́ːniəns】
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●「-pathy:パシィ」 sym・pa・thy(共感)【sı́mpəθi】
●「-graphy:グラフィ」 bi・og・ra・phy(伝記)【baiɑ́grəfi】
●「-logy:ロジィ」 psy・chol・o・gy(心理学)【saikɑ́ləʤi】
●「-metry:メトリィ」 sym・me・try(左右対称)【sı́mətri】
●「-ular:ュラァ」 per・pen・dic・u・lar(垂直の)【pəː(r)pɚndı́kjələ(r)】
●「-omy:オミィ」 a・nat・o・my(解剖)【ənǽtəmi】
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接頭辞に強勢なしの例
per・cent(百分率)【pə(r)sént】
 ”per:~あたり”より”cent:100”に意味の重みがあるので”per”に強勢はない
(時として)強勢が置かれる場合がある「接頭辞」の例
●「by-」 by・product(副産物)【bɑ́iprɑdəkt】
 他の何らかの”prod・uct:生産物【prɑ́dəkt】”に伴って”二次的:by(=2を表わす接頭辞)”な形で発生する過程に意味の重みがあるので、”by”の方に強勢がある
●「in-」 in・jus・tice(不正義)
 基本的発音は【inʤʌ́stis】だが、「正義の<不>在」に重点を置く場合は【ı́nʤʌstis】と冒頭の”in”に強勢を置く
●「non-」 non・sense(無意味なたわごと)【nɑ́nsens】
●「out-」 out・rage(度を越した暴力)【áutreiʤ】
●「pre-」 pre・mi・um(割増金)【prı́ːmiəm】
●「pro-」 prom・i・nent(際立つ)【prɑ́minənt】
●「un-」 un・quote(引用終わり)
 基本的発音は【ʌnkwóut】だが、”quote(引用始め)”で始めた引用文の締めくくりには【ʌ́nkwout】と冒頭の”un”に強勢を置く
●「wel[l]-」 wel・fare(福祉)【wélfeə(r)】
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●「-ee:イー」 em・ploy・ee(雇われ人)【emplɔiı́ː】
●「-eer:イヤ」 en・gi・neer(技師)【en(d)ʒənı́ə(r)】
●「-oon:ウーン」 bal・loon(風船)【bəlúːn】
●「-ese:イーズ」 Jap・a・nese(日本の)【ʤæpənı́ːz】
●「-ever:エバー」 for・ev・er(永遠に)【fə(r)évə(r)】
●「-teen:ティーン」 eigh・teen(十八歳)【eitı́ːn】
●「-esque:エスク」 gro・tesque(奇っ怪な)【groutésk】
●「-ette:エット」 mar・i・o・nette(操り人形)【mæriənét】
 「-esque」と「-ette」はフランス語からの外来語尾なので、その強勢も仏語にならって末尾に置かれる。
 「et・i・quette(エチケット)」のように完全に英語化した単語の発音は、仏語風の【etikə́t】も英語風の【étikət】も双方可
●「-self:セルフ」 your・self(あなた自身)【juə(r)sélf】
●「-selves:セルブズ」 your・selves(あなたがた自身)【juə(r)sélvz】
●「-nounce:ナウンス」 pro・nounce(発音する)【prənáuns】
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●「-ible:イブル」 in・cred・i・ble(信じられない)【inkrédəbl】 例外:in・tel・li・gi・ble(理解可能な)【intéliʤəbl】
●「-ic:イク」 ec・o・nom・ic(経済の)【ekənɑ́mik】 例外:Cath・o・lic(カトリックの)【kǽθɚlik】
●「-ics:イクス」 ec・o・nom・ics(経済学)【ekənɑ́miks】 例外:pol・i・tics(政治学)【pɑ́lətiks】
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●「-ary:アリ」 dic・tio・na・ry(辞書)【dı́kʃɚnɚri】 例外:i・mag・i・nar・y(空想上の)【imǽʤənɚri】
●「-ery:エリ」 mock・er・y(あざけり)【mɑ́kɚri】 例外:de・liv・er・y(配達)【dilı́vɚri】
●「-ory:オリ」 in・ven・to・ry(在庫一覧)【ı́nvɚntɔːri】 例外:pre・par・a・to・ry(予備段階の)【pripǽrətɔːri】
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súb・ject・・・(名詞: 主題)【sʌ́bʤikt】 / súb・ject(形容詞: 従属しているところの)【sʌ́bʤikt】 / sub・jéct(動詞: 服従させる)【səbʤékt】
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 特に以下の2パターンに関してはほとんど「☆☆例外なき鉄則」です。
●「some-:いくつかの」・「any-:なんであれ」・「no-:いかなる-も~ない」で始まる語の場合は(その冒頭で述べられる”分量”に情報価値があるのだから)例外なく冒頭の音節に強勢がある。
some・thing(何か)【sʌ́mθiŋ】 / any・body(誰でも)【énibɑdi】 / no-one(誰一人~ない)【nóuwʌn】
●複数の語句が結合した複合名詞(冒頭が「接頭辞」のものは除く)では、冒頭の構成語句に強勢がある場合が圧倒的に多い。
play・ground(遊び場)【pléigraund】 / merry-go-round(回転木馬・めまぐるしい動き)【méri-gou-raund】 / the White House(ホワイトハウス=アメリカ大統領府)【ðɚ (h)wáit haus】
 複数のアクセントがある場合、語頭に近いアクセントほど新しく、語尾に近いアクセントは古い時代のものです。時代を経るにつれて、英語のアクセントは「語尾から語頭へ」と移ってきているのです。
 例外もかなり多いのでアテにはならないもの、「強勢の位置に迷ったら頭を強く読め」が英語アクセントの緩~い原則です。
 ・・・ですがやっぱり、なんのかんの言っても英語の「強勢(accent)」と「発音(pronunciation)」は、アテにならない「原則頼み」はやめて音読体験の蓄積による「各個撃破」で攻略するのが正道です。
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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