― 復習テーマ ―
「前置詞”with”」が「動詞の代用」となる特殊な表現があります・・・しかも厄介なことに、この場合の「動詞の代用」は、「文中で既出の動詞の代用として”with”が用いられる」のではなく「脈絡上想定可能な動詞の代わりを”with”が務める」という性質のものなので、その「脈絡上想定可能な動詞」が何であるかを事前に知っておかないと(日本人英語学習者の場合はほぼ100%)対処不能になる「要棒暗記表現」と言えます。
「副詞+with+主語」の特殊縮約命令文
♪Away with you!
お前、あっち行け!
上例は、命令文なのに「動詞」がどこにも見当たらず、代わりに前置詞「with」があるだけの、かなり異様な形態です。
「動詞」を用いた普通の命令文で書けば、次のようになります。
(♪)[You] go away!
「動詞+副詞」(上例で言えば”go away”)を含む命令文の場合、「動詞」(上例では”go”)を「前置詞with」に変えて「副詞」(上例では”away”)を冒頭に出した特殊縮約命令文になる場合があるのです。
この種の表現は、特に「文語的」でも「古式」でもなく、日常会話の中でも時折出て来る命令文です(・・・ので、とにかく暗記して乗り切ってしまうのが得策です)。
「副詞+with+主語」の特殊縮約命令文の例
♪Away with school rules!
校則なんざクソくらえ!
元の形は「Do away with school rules!:校則なんて廃止しろ!」。
♪Down with the rotten Government!
腐った政府はぶっ倒せ!
元の形は「Knock down the rotten Government!」・・・”Government”が「時の政府・政権」を表わす場合は冒頭を大文字で書く(場合が多い)。
♪Off with your hats.
全員、脱帽せよ。
元の形は「Take off your hats.:帽子は取りなさい」。
更に簡略な「Hats off.」の命令文もありますが、こちらは「[Take your] hats off.」からの省略形で、組成が異なります。
♪Up with the cable!
錨(いかり)を上げろ!
元の形は「Lift up the cable!」。
♪Up with you!
起きろ!立ち上がれ!
元の形は「[You] get up!」あるいは「[You] stand up!」。
次例は、上に列挙した「副詞+with+主語」の特殊縮約命令文とは組成が異なります。
♪Down on your knees.
ひざまずけ。
「[Get] down on your knees.」からの単純な動詞[Get]の省略例なので、「動詞を前置詞withに変えた特殊縮約命令文」とは別物です。
「動詞+副詞」を含む命令文の全てが、必ずしも「副詞+with+名詞」の特殊命令文へと縮約可能というわけでは、ありません。
♪Shut off your bloody mouth!
そのケッタクソ悪い口を閉じやがれ!
イギリス英語では、形容詞”bloody:血まみれの”が上例のような感情的文脈で用いられると、「罵倒・中傷」の間投詞的表現となります。
ちなみに、(イギリスでもそれ以外でも)万国共通で使われる「罵倒・中傷」の間投詞表現は、”fucking”です(・・・あんまり口に乗せるべき表現でないことは言うまでもありません・・・)。
(♪)Shut off your fucking mouth!
上の「Shut off your bloody(=fucking) mouth!」を、次のような「副詞+with+名詞」の表現に変えることはできません。
(×)Off with your bloody mouth!
(×)Off with your fucking mouth!
(×)Off with your fucking mouth!
「Shut off your bloody(=fucking) mouth!」から生み出され得る縮約表現は、(日本語でもお馴染みの)次のものだけです。
(♪)Shut up!
黙れ!(シャラップ!)
要するに、「副詞+with+名詞」の表現は、特定の「動詞+副詞」を含む言い回し限定の定型句 ― (”自作”することなど考えず)ひたすら棒暗記して使いましょう。
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一般の掲示板では、自分の質問に誰かが何かコメントを付けるたび、それなりのレスポンスを返すのが「作法」ということになっています・・・が、この「コメント道場」では
●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
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