既に述べられた文章の内容を受ける「副詞」としては
●”肯定”受けの【so】
●”否定”受けの【not】
●”同様”受けの【likewise】・【same】
●”反対”受けの【differently】・【otherwise】
●”条件”受けの【then】
●”様態”受けの【thus】
等があります。
♪“Do you believe God will help us [to] survive this violent climate change?” ― “I believe 【not】. It’s a disaster of our own making, not an act of God. It is not to God but to science that we must turn for help.”
「神は我々に、この急激な気候変動を生き抜く手助けをしてくれると思いますか?」 ― 「思わない。これは我々自身が招いた災厄であって、神の意志による自然災害や不可抗力とは違う。我々が助けを求めてすがるべきは、神ではなく、科学の力だ」
「help us [to] survive」のSVOC構造で「C」の不定詞[to]を省略するのは主としてアメリカ英語の特徴。
「of one’s [own] making」は「自分自身で作った」を意味する動名詞関連の定型句。
「an act of God」は、人為ではない「天変地異」として発生する災厄のことで、法律用語としては「(誰に責任を問うこともできない)不可抗力」の意味で用いられる。
「turn to X for Y」は「depend on X for Y」と同じく「Yを求めてXに頼る」を意味する熟語。
上の少々シリアスな問答の中に出て来る「I believe 【not】.」は、直前にあった相手の台詞の内容を丸ごと受けて、その内容全体を”否定”に染めるもので、略さず書けば次のような<否定文の内容>をすべて【not】の1語で総括していることになります。
I believe <God will 【not】 help us [to] survive this violent climate change>
上の「I believe not」の【not】は、前文の内容全体を否定的に総括するものであって、直前の動詞【believe】のみに掛かるものではないので、次のように解釈するのは間違いです。
(×)私は神を信じない(I do 【not】 believe [in God])。
上の「I believe 【not】(私はそうではないと思う)」は
I 【don’t】 think 【so】(私はそうは思わない)
としても同じ意味になります。
「判断・推量」系の動詞(believe / be afraid / guess / suppose / think等)が「直前の話題」を”否定的に総括”する場合には「動詞+【not】」を、”肯定的に総括”する場合には「動詞+【so】」を用いる
という便利な総括表現が英語にはあるわけです・・・が、”肯定的に総括”の「I think <so>.」などは「私は<そう>思う」という風にうまい具合に「英語も<so> / 日本語も<そう>」とまるっきり同じ言い方なので日本人もすんなり使えますが、”否定的に総括”の「I think <not>.」などは、そうそうあっさりは使いこなせないようです。
特に注意すべきは、「I think <not>」を「(×)私は<考えない:don’t think>」としたり、「(×)I believe <not>」を「(×)私は<信じない>」としたり、「I’m afraid not」を「(×)私は<恐れない>」としたりするような「【not】を動詞に掛けてしまう誤訳」です。
いわゆる「文修飾副詞(sentence adverb)」に関しては、既出文章内容の「”肯定”受け」 / 「”否定”受け」の作法がやや異なりますので注意しましょう。
♪“Do you believe smart-phones will completely replace personal computers?” ― “Probably 【not】. Smart-phones are only good for receiving information, no good for creating something.”
「スマホはパソコンに完全に取って代わると思いますか?」 ― 「それはまずないね。スマートフォンは情報を受け取るのに役立つだけの代物であって、何かを創造する上では全く役立たずなんだから」
上の英文の「Probably not」は、略さず書けば次のような”否定内容の総括受け”をしている表現です。
♪【It is probable that】 smart-phones will 【not】 replace personal computers completely.
スマホがパソコンに取って代わることはない、という事は確実だ。
【not】が「前文の内容全体を”否定的に総括”」することは既述の通りですが、副詞【probably】の方もまた「It is probable that ~」という”文章全体の内容を総括”しているわけです・・・こういう「文章内容全体を受ける副詞」のことを「文修飾副詞(sentence adverb)」と呼びます。
「文修飾副詞」が文章内容全体を”否定的に総括”する場合、「文修飾副詞+【not】」の形態を取る
ということは上の英文から明らかです・・・が、これと対照的に「文章内容全体を”肯定的に総括”」する場合、次の点に注意する必要があります:
「文修飾副詞」が文章内容全体を”肯定的に総括”する場合、「文修飾副詞」のみで事足りる。
・・・すなわち
「文修飾副詞」が文章内容全体を”肯定的に総括”する場合、「(×)文修飾副詞+【so】」の形態にするのは間違い
なのです。
♪“Don’t you think your daughter is addicted to her smart-phone?” ― “Obviously.”
「お宅のお嬢さん、スマホ中毒だと思いません?」 ― 「明らかにそうですね」
上例の文修飾副詞「Obviously」の直後に副詞「so」を付加すると間違いになります。
“Don’t you think your daughter is addicted to her smart-phone?” ― (×)”Obviously 【so】.”
文修飾副詞【Obviously】は、次のような形で「直前の文章内容全体を総括」しています:
【It is obvious that】 my daughter is addicted to her smart-phone.
このように、【Obviously】の中に既にもう「直前の文章内容全体」が組み込まれているわけですから、そこに更に「直前の文章内容全体を”肯定的に総括”する副詞【so】」を付け加えるのは蛇足、というわけです。
「文修飾副詞」でない表現(例えば「I’m afraid」)を用いる場合には、「直前の文章内容全体を”肯定的に総括”する副詞【so】」を付け加えないと意味が通じなくなります。
♪“Don’t you think your daughter is addicted to her smart-phone?” ― “I’m afraid 【so】.”
「お宅のお嬢さん、スマホ中毒だと思いません?」 ― 「残念ながら、そのようです」
「not」と「so」を組み合わせた「not so:そうではない」の表現は、「with:~に関して」と組み合わせてしばしば用いられます。
♪Computers never forget what we input to their memories. 【Not so】 with humans. We keep forgetting and deforming old memories.
コンピュータは我々がそのメモリーにインプットした情報を決して忘れないが、人間の場合はそうはいかない。我々は古い記憶を忘れたりねじ曲げたりし続けている。
「Not so with humans」は、既出の文章内容「never forget what we input to their memories:記憶領域に入力したものを決して忘れない」を”否定受け”するもので、敢えて補えば「[It is] not so with humans:人間に関しては事態はそうはならない」となります。
「接続詞+so」で既出の文章内容を”肯定受け” / 「接続詞+not」で”否定受け”する表現があります。
♪Mankind has just begun to address the problem of global warming. With collective awareness and struggle, maybe we could stop it. 【If so】, other animals on this planet could survive; 【if not】, not.
人類はようやく地球温暖化の問題に取り組み始めたばかりだ。我々全員が問題意識を持って必死に取り組めば、ひょっとしたら地球温暖化を止められるかもしれない。そうなれば、人類以外の地球上の生物たちも生存可能だろう。さもなくば、死滅するだろう。
「with collective awareness and struggle」に於ける”with”は、「~という条件が整えば」を意味する”if”相当語。
Mankind has just begun to address the problem of global warming. With collective awareness and struggle, maybe⇒[it may be that] we could stop it. 【If so】⇒[If we could stop global warming], other animals on this planet could survive; 【if not】⇒[if we could not stop global warming], not⇒[other animals on this planet could not survive].
●【likewise】=同様に
♪A child ill-treated by parents may treat them 【likewise】 in later years.
親に虐待された子供は後日その親を同様に(手ひどく)扱うことになるかもしれない。
A child ill-treated by parents may treat them 【likewise】⇒[the same / in like manner / equally badly] in later years.
「likewise」の語源は「like:同様の+ways:方法」。
「likewise」とよく似た副詞「alike」は、「同様」は同様でも「複数存在する人・物を同様に扱う」の形で用い、上のような「やられたら、同様にやり返す」の意味では用いない。
♪Unlike human laws, laws of nature treat all things 【alike】.
人間界の掟とは異なり、自然の法則は万物を平等に扱う。
Unlike human laws, laws of nature treat all things 【alike】⇒[in the same manner / equally].
●【same】=同様に
♪They regard money and fame above all else. I don’t think 【the same】.
連中は金と名声が他の何物にも勝ると思っている。私はそうは思わない。
They regard money and fame above all else. I don’t think 【the same】⇒[likewise / like them / money and fame are above all else].
「same」はたとえ副詞として用いる場合でも「the same」のように定冠詞付きになります・・・が、【same here】という定型句で用いる場合は無冠詞です。
♪“I don’t go in for such an idea.” ― “【Same here】!”
「そんな考え方には賛同できません」 ― 「右に同じ!」
“I don’t go in for such an idea.” ― “【Same here】!⇒[I don’t agree to such an idea, either]”
●【differently】・【otherwise】=それとは別に
♪Some people believe the so-called environmental tax could reduce the speed of human destruction of nature. I think 【otherwise】.
一部の人々はいわゆる環境税によって人類による自然破壊の速度を鈍らせることができると考えている。私はそうは思わない。
Some people believe the so-called environmental tax could reduce the speed of human destruction of nature. I think 【otherwise】⇒[think differently / don’t think like them / don’t think so / think not].
「otherwise」の語源は「other:別の+ways:方法」。
副詞「else」を用いても同様の意味が表わせますが、その場合「else単体」ではなく「else than ~」の形態となります。
I think 【else】 than that.
私はそれとは違う考え方をする。
【otherwise:それとは別に】と似た表現として ― 1語の副詞ではなく副詞句になりますが ― 「それとは逆に」を意味する定型句【on the contrary】があります。
♪Some people seem to fear and hate science as the cause of many modern problems. 【On the contrary】, science is the key to all possible solutions.
一部の人々は、科学を幾多の現代の問題の原因として恐れ忌み嫌っているようだが、まったく逆である ― 考え得るありとあらゆる解決の鍵となるのが科学なのだ。
Some people seem to fear and hate science as the cause of many modern problems. 【On the contrary】⇒[Contrary to their fear and hate], science is the key to all possible solutions.
「on the contrary」は「とんでもない、その逆だ」の意味を表わし、「contrary to A」は「Aに反して」の意味を表わす。
●【then】=その条件が整えば
♪You must first master all orthodox manners. You are 【then】 free to step into the realm of the unorthodox.
まず最初に全ての正統な作法を身に付けなさい。正統の全てを我が物にしてようやく、邪道の領域へと踏み出す自由が得られるのです。
You must first master all orthodox manners. You are 【then】⇒[If you have mastered all orthodox manners, you are] free to step into the realm of the unorthodox.
●【thus】=そのようにして
♪As we advance in years, we lose our hair, teeth, old friends and desire for living. We will 【thus】 ready ourselves for departure from this world.
年を経るにつれ、我々は髪の毛を失い、歯を失い、古い友を亡くし、生きる意欲をなくす。そうして我々はこの世界からの旅立ちの準備を整えるのである。
As we advance in years, we lose our hair, teeth, old friends and desire for living. We will 【thus】 ready ourselves for departure from this world.⇒[We will get ready to die in that way]
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●回答者が最初に発した疑問点が解決した場合にはシンプルに
♥Got it, guratche!♥・・・発音は「ガリット・グラッツィェ!」意味は「了解(英語)、感謝(イタリア語)」
と返答して「御挨拶」はそれでおしまい、ということにしましょう。
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◆回答者は、質問者から自分への直接のお礼のコメントがなくても、悪く思わないこと◆