「感嘆文」に(まれに)見られる”疑問文語順”

    
 「疑問文」と語順は異なるものの、「間接疑問文」と同じ「SV語順」のはずの「感嘆文(How ~! / What ~!)」が、ごく稀に「疑問文語順(SV⇒VS)」に転倒する場合があります。
「How ~!」系の感嘆文
How lucky I am to meet you! How happy I will be to be with you!
あなたに会えて私はなんて幸運なんだろう!あなたと一緒にいられたら私はどれほど幸せだろう!
 上の例文の「(C)(How) lucky (S)I (V)am」 / 「(C)(How) happy (S)I (auxV)will (V)be」は、いずれも「間接疑問文」ではなく「感嘆文(exclamatory sentence)」です。
 「間接疑問文」も「感嘆文」も形態的には同じ「SV語順」ですが、次の点が異なります。
●「間接疑問文」は常に「文中の一成文(名詞節)」として機能するが、「感嘆文」は(多くの場合)「独立した文章」として成立している
●「感嘆文」は(基本的に)末尾に「!(exclamation mark)」を添える(・・・が、さほど調子が強くない場合は「!」の代わりに「.」で締めることもある)
 ただ、「how」や「what」で導かれる「間接疑問文」の「いかに~であるか」にも「感嘆文」の響きがしばしば宿ることは確かですし、「感嘆文」から「末尾の!」が省略される場合もしばしばです。
 また、「感嘆文」が文中の一成文として埋没して「間接疑問文」っぽくなっている次のような例も(結構多く)見受けられます。
You’ll be surprised how fast and how much he eats.
彼の早食い・大食いぶりを見たら、驚くよ。
 上の例文では、「(how fast) (S)he (V)eats:彼がどれほど早く食べるか / (how much) (S)he (V)eats:彼がどれほど大量に食べるか」が、いずれも「how+副詞」の「感嘆文」になっています。
 ここでの「how much he eats」の「感嘆文」は、しかし、「文章内の一成文」として埋没している感覚なので「間接疑問文」と呼ぶことも可能です・・・このあたりの区別に過度にこだわる必要はなく、「感動・驚き」が力説されているなら、それは単純に「感嘆文!」と呼べばよいわけです。
 こうした例に見る通り、「感嘆文と間接疑問文は語順も用法も紙一重」なのです。
「What ~!」系の感嘆文
What annoyance this bunch of junk-mail is!
このゴミメールの山の、なんとうっとおしいことよ!
 上に示した「感嘆文」3つのうち、「be動詞」および「助動詞」を用いたものに関しては、その語順が「SV⇒VS」の”疑問文語順”に転倒する場合があります(・・・常にそうなるのではなく、そうなる場合もある、ということです)。
 一方、「do動詞」を用いた「感嘆文」に関しては、”疑問文語順”を取る場合は(まずもって)ありません ― 「単純転倒では”疑問文語順”にならないから(=二段構えの倒置構造に持ち込むのがメンドくさいから)」です。
How lucky I am to meet you! How happy I will be to be with you!
(♪)⇒How lucky <V)am> <S)I> to meet you!
⇒How happy <auxV)will> <S)I> <V)be> to be with you!
あなたに会えて私はなんて幸運なんだろう!あなたと一緒にいられたら私はどれほど幸せだろう!
What annoyance this bunch of junk-mail is!
(♪)⇒What annoyance <V)is> <S)this bunch of junk-mail>!
このゴミメールの山の、なんとうっとおしいことよ!
 「感嘆文(SV)」が「疑問文語順(VS)」に転倒しても、その意味が「疑問文(~ですか?)」に化けるということはなく、あくまで「感嘆文(なんと~なことか!)」のまま・・・では何故「SV⇒VS」の語順転倒が起こるかと言えば、それは「そのほうが語調がいい(と話者が感じた)」から、というだけの話です。
 この「”疑問文語順”の感嘆文」というのは、「文の構造上、必ず起こる倒置」ではなく「語調上なんとなく起こる(場合がある)倒置」ですから、語調が整わない場合には当然見られません。
 上の2例は「be動詞 / 助動詞」を用いており、単純転倒で”疑問文語順”になるので倒置したものの、もう1つのやつは「do動詞を用いた感嘆文」のため、”疑問文語順”にするには手間がかかりすぎて(まずもって)倒置構文に化けることはありません。
You’ll be surprised how fast and how much he eats.
彼の早食い・大食いぶりを見たら、驚くよ。
⇒(×)You’ll be surprised how fast and how much <auxV)does> <S)he> <V)eat>.
 文中に「be動詞 / 助動詞」が顕在化していれば、単純転倒で済むので「倒置構文」になる・・・が、「do動詞」の場合は、2段構えでひっくり返すのが面倒なので「倒置構文」にはならない
というのは、キッチリとした文法原則を期待する日本人英語学習者にとっては肩透かしめいて聞こえるかもしれませんが、これ以降に登場する「倒置構文」(の多く)に関しても当てはまる大事なルールなので、頭(というより言語学的体表感覚)にしっかり刻み込んでおいてください。
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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