「疑問文」に於ける構造的倒置

    
 この『英語構文上級編 (English Sentence Structure: ADVANCED=ESSA)』では、通常の英文の構造とは異なる”特殊構文”について、以下の5章(CHAPTER)に分けて、構造別に詳しく解説します:
CHAPTER-1)INVERSION(倒置・語順)
 ・・・通常の英文の語順とは異なる語順の構文
CHAPTER-2)COMMON-RELATION(共通構文)
 ・・・重複する文章成文が省略されて、残った共通の文章成文を複数語句が共有する構文
CHAPTER-3)PARENTHESIS(挿入)
 ・・・一連の意味の流れを表わす文章成文の中に、その流れから外れる別の語句が割り込む構文
CHAPTER-4)APPOSITIVE(同格)
 ・・・英文中で隣接する語句の一方が、他方の補足説明として機能する構文
CHAPTER-5)ELLIPSIS(省略)
 ・・・本来そこに存在するはずの文章成分が、何らかの理由で省略されている(ので、推測して補足解釈する必要がある)構文
 「”文の種類”によって起こる倒置」と言えば、真っ先に挙げられるのが「疑問文」です。
 通常の英文(平叙文:SはVである)が「S―V(主語―述語動詞)」の語順を取るのに対し、これをひっくり返した「V―S(述語動詞―主語)」の語順とすることで生じる”違和感”によって、「SはVである・・・のですか?」の意味であることを印象づけるのが”疑問文”というわけです。
 「通常語順と異なることから生じる”違和感”が、ある種のメッセージ性を持つ」というのが、英語の「倒置構文」の多くに通底する特性と言えるわけですが、裏を返せばそれだけ「英語は語順が固定的な言語」ということになります。
 フランス語・イタリア語等のラテン系諸言語との比較で言えば、「”語尾変化”の大部分を捨て去った英語には、語句相互の位置関係(=語順=どの語がどの語の前 / 後に来るか)が文意を決定付ける側面がある」ということになります。その”語順”にほんのわずかでも”違和感”が伴えば、英語人種はこれに敏感に反応する(=”語順の変更”が強いメッセージ性を帯びる)というわけです。
 「疑問文」に於ける構造的語順転倒は、用いられる動詞が「be動詞 / 助動詞」であるか「非be動詞(=do動詞)」であるかによって、その作法が2通りに分かれます。
(♪)“Am I a liar?” ― “Yes, you are.”
「私は嘘つきか?」 ― 「そう、あなたは嘘つきです」
 「be動詞」を用いた英文を「疑問文」にする場合の作法は、次の通りとってもラクです。
●元々の「主語+be動詞」の部分を「Be動詞+主語」の語順に単純転倒すればよい
 これとほぼ同じなのが「助動詞(auxiliary verb)」を用いた英文の疑問文で
●「主語+助動詞+本動詞(S+auxV+V)」を「助動詞+主語+本動詞(auxV+S+V)」の語順に転倒すればOK
です。
Will you just tell me the truth?
真実だけを語ってくれませんか?
(S)You (auxV)will (just) (V)tell (Oi)me (Ov)the truth.
⇒(auxV)Will (S)you (just) (V)tell (Oi)me (Ov)the truth?
 「be動詞」もまた「助動詞(auxiliary verb)」の一種である、として考えれば
●文中に「助動詞(含 be動詞)」が顕在している(=目に見える形で現われている)英文では、その「助動詞(auxV)」を冒頭に出せば疑問文になる
という単純なルールでよいことになります。
 「be動詞」や「助動詞」を含む英文の疑問文の作り方は、「SVをVSにひっくり返すだけ」の単純転倒でした。
 これに対し、やや面倒臭い作法を必要とするのが、「do動詞」の”二段構え疑問文”です。
Do you call me a liar?
あなたは私を嘘つき呼ばわりするのか?
 次のように、単純に「主語+do動詞」を「do動詞+主語」の語順に転倒させるだけではダメです。
(S)You (V)call (O)me (C)a liar.
(あなたは私を嘘つきと呼ぶ)
⇒(×)(V)Call (S)you (O)me (C)a liar? ←これでは疑問文にならない!
「do動詞」の疑問文(現在時制)を作るには
1)まず最初に「do動詞」の部分を「do+動詞原形 / (三単現の場合は)does+動詞原形」に二分割します
<一人称・二人称・三人称複数(現在):あなたは私を嘘つきと呼ぶ>
(S)You (V)call(=do+call) (O)me (C)a liar.
<三人称単数(現在):彼は私を嘘つきと呼ぶ>
(S)He (V)calls(=does+call) (O)me (C)a liar.
2)そうして二分割した「Do / Does」の部分を冒頭に出して、疑問文を作ります
⇒(auxV)Do (S)you (V)call (O)me (C)a liar?
(あなたは私を嘘つき呼ばわりするのか?)
⇒(auxV)Does (S)he (V)call (O)me (C)a liar?
(彼は私を嘘つき呼ばわりするのか?)
 この「”二段構え”の面倒臭さ」が「[助]動詞の顕在化していない”do動詞疑問文”」の特徴なわけですが、この感覚は「倒置構文」の扱いにもそのまま当てはまります:
●「”助動詞 / be動詞”含みの構文」は「SV⇒VS」に単純転倒すればよいだけなので「倒置構文」に乗せやすい
●「(助動詞が顕在化せずに潜在する)”do動詞”の構文」は、「SV⇒VS」の単純転倒ではなく「SV⇒S+auxV(助動詞)+V(本動詞)⇒auxV+S+V」の二段構えの転倒が必要なので、「倒置構文」には乗せづらい
というわけです。
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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