挿入部の区切りが曖昧な付加コメント的挿入

    
 「挿入語句」の中には、「(  ) / ― / , / as」等の”定番の記号・語句”を用いることもなく、「挿入部」と「メイン部分」の区切りが明瞭ではないものがあります。
In the vast universe, the existence of a single person and for that matter the earth itself or even the solar system seems to have next to no meaning.
広大な宇宙の中では、一人の人間の存在は(この点に関して言えば地球そのものも太陽系でさえも)ほとんど何の意味も持たないように思える。
 「next to no X」は「ほとんどXに近い(=almost / virtually / practically X)」の意味。
 上の英文に出て来る「for that matter:それを言うなら」は「挿入句の導入語句」としてよく用いられるものですが、「それを言うなら」と言いつつも「”それ”に関する記述がまだ完成しない途中段階で差し挟まれる付加コメント」だけに、読み手・聞き手としては「”それ:that matter”って、何?!」ってツッコミ入れたくなるような厄介な代物です・・・具体的に言えば:
(1)the existence of <a single person> (・・・seems to have next to no meaning):<人間個人>の存在(・・・はほとんど無意味に思える)
(2)and (for that matter):というか、”ほとんど無意味(next to no meaning)”ということで言えば
(3)<the earth itself> or even <the solar system> seems to have next to no meaning:<地球そのもの>も<太陽系>さえも、ほとんど無意味に思える
という3段階の論旨の流れで展開する英文なのですが、その(3)の段階でようやく登場する「seems to have no meaning:ほとんど何の意味もない」が、筆者・話者の頭の中では既にもう”登場済み”なので、(2)「for that matter:その点で言えば」となるわけですが、「that matter:その点=seems to have no meaning:ほとんど意味がないように思われる」の正体が(読者・聞き手にとって)判明するのは(3)の段階 ― それを(1)の段階で既にもう「(2)その点で言えば」と言われても、読者や聞き手としては戸惑うばかり・・・戸惑わずに済む方法はたった一つ ―
 【for that matter:その点で言えば】を見たら、「何が言いたいのか、とりあえずもう少し先まで、待とう」という”保留”の態度で臨むべし
ということです・・・要するに、「それと知った上で身構えていないと、”挿入”にうまく対処できない」場合が、英語にはままある、というわけです。
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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