関係代名詞【as】・【what】の導く予示的挿入

    
 先述した「付加コメント的挿入」とは方向性が逆になりますが、「後述の文章内容」に関して「これは~なことながら」という形で筆者・話者の心的態度を事前に予告しておく形の挿入語句があります。
 いずれも「【as】・【what】・【which】・【this】・【so】を用いた定型的表現」として把握しておくべきものばかりなので、ここでしっかり習熟しておきましょう。
(♪)As is usual with Japanese students, he is ashamed to read aloud English in class.
日本人の学生に関してはよくあることながら、彼は教室内で英語を音読するのを恥ずかしがる。
 上の英文は「【As】 is usual with Japanese students:【これ】は日本人学生の通例だが」として、まだ登場してもいない後続部の文章内容の”予告編”から始まっています ― これが「予示的挿入」です。
 ここでの【as】は、前置詞でも接続詞でもなく、「疑似関係代名詞(pseudo relative pronoun)」です。
 「関係詞」であるからには「先行詞(antecedent)」があるわけですが、その内容は”後続の英文”「he is ashamed to read aloud English in class:彼は教室内での英文音読が恥ずかしくてできない」です ― 「”先行”詞」ならぬ「”後行”詞」といった感じですが、
疑似関係代名詞【as】は「後文の内容」を「先行詞」とする「非制限的用法(予示的用法)」で用いることができる
と覚えておきましょう。
 疑似関係代名詞【as】はまた、”前文”の内容を「先行詞」とする「非制限的用法(付加コメント的用法)」でも用いることができます ― この場合の【as】は、関係代名詞【which】で置き換えることも可能です:
He is ashamed to read aloud English in class, 【as】 is usual with Japanese students.
彼は教室内で英語を音読するのを恥ずかしがる・・・まぁ日本人の学生に関しては毎度のことだが。
(♪)⇒He is ashamed to read aloud English in class, 【which】 is usual with Japanese students.
 「前文の文章内容」を先行詞とする「非制限的用法」の【which】は、【that】で置き換えることはできません:
⇒(×)He is ashamed to read aloud English in class, 【that】 is usual with Japanese students.
 【as】は「後文の内容全体を”予示”する形で受ける」ことが可能ですが、この逆順が可能なのは【as】だけ ― 【which】での代用は不可能です:
⇒(×)【Which】 is usual with Japanese students, he is ashamed to read aloud English in class.
 後文の内容を先取りして受ける”予告編”的な疑似関係代名詞【as】を含む熟語としては、次のものもあります。
●【as follows】=「以下のごとく」
As regards the matter, the committee has decided as follows.
その件に関しては、委員会は以下のごとく決定した。
 【as regards X】は「about X / concerning X」と同じく「Xに関して」の意味を表わし、その冒頭の【as】は「主語になる疑似関係代名詞」で、「as respects X」となる場合もある・・・が、この【as regards】は「後続の文章内容を先行詞とする”予示的”挿入」ではない。
 上の英文は【as follows:以下の通り】で終わっていますが、実際の英語では、その後に延々と「委員会の決定事項」が読み上げられる展開になります ― その(まだ出て来ない)「後続の英文の内容」を”先行詞”とする”予告編的口上”として述べられるのが【as follows】です。
 上でも紹介した通り、関係代名詞としての【as】と【which】とには「”前文”の内容を先行詞とする非制限的用法」に於いては互換性がありました・・・が、関係代名詞【what】もやはり、【as】との間に(互換性はないものの)微妙な類似性が見られます。
 「関係代名詞」として「”文章”の内容を先行詞とする」ものは【which】・【what】そして(疑似関係代名詞の)【as】の3つだけですが、その取り得る”先行詞”は次の通り三者三様です:
●【which】=”前文”の内容を先行詞とする(”後文受け”はできない)
●【what】=”後文”の内容を先行詞とする(”前文受け”はできない)
●【as】=”前文”・”後文”いずれの内容をも先行詞とすることができる
 「”後文”の内容を先行詞とする予示的挿入の非制限的用法」に用いられる【what】は、次例のように「同種の事例の”箇条書き”の一連の流れの中に挿入される”予告編”」として使われるものであり、【as】とは微妙にその位置付けが異なります。
He was tall, handsome, athletic and, 【what】 was best of all, gentle and kind to any girls.
彼は背が高く、顔が良く、スポーツマンタイプで、何より最高なことには、どんな女子に対しても優しかった。
 「what was best of all:最もよいことには」は、しばしば「best of all」の省略形で用いられます ― ということは、とりもなおさず「[what+be]を省略しても元の形は誰でもわかるほどの定番表現」というわけです。
 「[what+be]+形容詞」の省略型で「箇条書き項目の予示的挿入」として用いられる定型句としては、他にも【worst of all:最悪なのは】・【most of all:とりわけ】等があります。
 「”後文”の内容を先行詞とする予示的挿入」に用いられる【what】と【as】の違いは、端的に言えば「箇条書きの形で畳み掛けるのが【what】」 / 「単発的に挿入されるのが【as】」ということです。
 上の英文の場合、「(1)長身でしょ、(2)ハンサムでしょ、(3)スポーツマンでしょ、」とホメ言葉を列挙する流れの中で、「パンパカパーン!さぁ、いよいよ”彼のいいとこナンバーワン”を発表します!」といった感じで最後の「(4)女子全員に優しいのよこれがまた」を紹介するのが【[what is] best of all】なわけです・・・こういう勿体(もったい)付けた外連味(けれんみ)ある予示的挿入は、【as】にはできない芸当です:
(×)He was tall, handsome, athletic and, 【as】 was best of all, gentle and kind to any girls.
 「予示的挿入の【as】」は、次のように”単発”で使います:
He was tall, handsome and athletic, and, 【as】 often happens to such a student, his shoe box was always filled with love letters.
彼は長身でハンサムで筋骨隆々、そういう学生にはよくあることだが、彼の下駄箱はいつも恋文で満杯していた。
 「箇条書き的に畳み掛ける文脈」ではないので、上の【as】を【what】で言い換えることはできません:
⇒(×)He was tall, handsome and athletic, and, 【what】 often happens to such a student, his shoe box was always filled with love letters.
    

コメント (1件)

  1. 之人冗悟
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